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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第4章 開き直りました



 通りの向こうで爆音がした。続いて地響き。
 ビルの間から煙が立ち上っているのが見える。
「とと……!」
 私はバランスを取りきれずよろめき、そのついでにまた数人昏倒させてしまった。

「ま、まずいまずい!!……いや、離れればいいのか」

 慌てて距離を取ると、その人たちは『あれ?』と呆けたように起き上がり、そして慌てて逃げていく。
 私はホッとした。

 しかし……呪いが強くなってる自覚はあったが、まさか触れる人が即寝するレベルになってるとは思わなかった。

 最近、スティーブンさんの家に引きこもりがちだったせいかなあ。自分の身体に無自覚すぎた。

「……て、呑気に考えてる場合じゃないし!!」

 気がつけば皆逃げて、周りには私一人しかいねえっ!!
 私も慌てて近くの茂みの中に逃げようとした。

「うわっ!!」

 また地響き。今度こそバランスを失って転倒。盛大に膝を打った。

「いたた……」

 うわあ。転んで膝をすりむくとか小学生以来だわ。
 慌てて起き上がったところ、後ろから低い声がした。

「何だぁ、この人類(ヒューマー)のガキ」
「…………ども」

 私の真後ろに、説明不要なほど分かりやすい悪党がいた。

 とにかくでっかい異界人だ。地響きの理由はこいつらしい。
 目が五つ、手が六本くらいあるけど、まあ詳細はどうでもよろしい。あと全ての手にバズーカ砲くらいのデカさの拳銃持ってますが。

「いやホントすみません!! 通行のお邪魔をしてすみません!!
 今すぐ立ち退きますからっ!! どうかご寛恕をっ!!」

 だが異界人はニタァっと笑い、

「ちょうどいい、てめえ人質になりやがれっ!!」
「いーやーあーっ!!」

 悲鳴を上げるが、私は悪党の手に絡めとられ――。

 あ。

 悪党がバタンと盛大に倒れた。
 
「は?」

 私はちょっと呆然として、いびきをかきだした悪党を見、

「あ、そうか。私の呪いで寝ちゃったんだ」

 ポンと膝を打つ。痛い。すりむいてたんだ。

「いやそうじゃないそうじゃない! すぐ逃げないと!!」

 大慌てで、近くのデカいしげみの中に転がり込んだ。
 そのまま走ろうとして――私の足が止まる。


「斗流血法――て、あれ? 何でこいつ寝てんだ?」

 どこかで聞いたような声がした。

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