第4章 開き直りました
そして翌日の夜。
「今日はお相手しません。寝ます」
私はベッドでスティーブンさんに背を向け、ふて寝。
「ハルカ~。機嫌を直してくれよ。ほら、昨日頑張ったご褒美にチョコレートも買ってきてあげたし、新しい服だって見たいだろう?」
スティーブンさん、笑いながら私を揺するがもう知らん。
寝てていいよと言いつつ、結局無理させたくせに!
「チョコレートだけ置いてお帰り下さい。あと服というか、どうせまたセクシー下着でしょうが、エロ中年」
「そういう言い方、傷つくから止めてくれないかな?」
「いだだだだだっ!! そういうとこだけ大人げないしっ!!」
こめかみに制裁をくらい、私はまたも白旗を揚げた。
ちなみに服はやはり、際どいデザインのランジェリーであった。
「今度、僕が通ってるジムに入ってみるかい? もちろん会費やウェアは僕が用意するから」
ベッドでスティーブンさんの足の間に座らされ、口にチョコを給餌される。
はあ。さすが高級ブランドチョコ。スーパーの安物とは格が違う。甘~。うま~!
「機嫌、直してくれた?」
頭を撫でるな。
そう思いつつ、スティーブンさんの青シャツにもたれ、次のチョコを口に入れてもらう。
「私を鍛えるのはさておき、スティーブンさんってそんなに運動する必要あるんですか?」
マフィアなら銃だけ扱えればいい感じもするが。
体型も引き締まってて、改めて運動する必要はない気がする。
「使わない刃はすぐ、なまくらになる」
スティーブンさんはそう言っただけだった。
なまくら。切れ味が鈍るって意味だっけか。前にも刃物がどうのこうのと言ってた気がするが、何かこだわりがあるのか?
まあつまり、自分を甘やかしたくないと。私と正反対だ。
「まあそうは言っても、ジムでの運動は単なるストレス解消だけどね。
仕事柄、不規則な生活だって、君も知ってるだろう?」
そらまあ定時帰宅の日が続いたかと思えば何日も帰ってこなかったり、夜明け前に帰ってきて夜が明けたら出勤したりとかザラだし。
「スティーブンさん」
「何だい?」
私はググッと後ろに体重をかける。スティーブンさんは察して、苦笑しながら後ろに倒れてくれた。
二人して横になったとこで、私はスティーブンさんに向き直る。
何だか私が押し倒してるみたいだ。