第4章 開き直りました
そして家に帰り、シャワータイムである。
「ほわ~」
蛇口からシャワーが滝のごとく流れている。
ただし私の呪いの影響で、私の身体に当たる頃には15℃のお水になっているわけだが。
私はいい加減に慣れたので、最近は普通に洗えるが、
「スティーブンさん、寒くないですか?」
背中越しで身体を洗ってる家主に、声をかけた。
「ん? まあ、外で十分運動したしね」
驚いたことに、スティーブンさんの声は普通。
チラッと後ろを見ると、特に震えもせず水風呂で身体を洗っていた。
「この街では、いつも暖かい風呂にありつけるとは限らない。
作戦中だったらなおさら。身体の汚れを流せる水があれば、それだけで御の字って状況の方が多いよ」
……だから何の仕事やってんすか、スティーブンさん。
左半身から両足に広がるタトゥーを見ていると、
「!」
こっちを見られ、目が合う。敵はニヤッと笑い、
「何だい? 僕の身体をじっと見て。襲ってほしいのかい?」
「いえいえいえ!!」
水風呂の中でやるのは、さすがに上級すぎる。
「じゃ、早く上がろう。身体を温めないと」
「!!」
顔を近づけないで下さい。
スティーブンさんはむきだしの腕で、私を抱き寄せる。
一瞬、私の身体に硬いモノが当たった気がするが、気のせいか!?
「水に濡れた君も可愛いからね。襲って風邪を引かせてしまいそうだ」
そう笑ってキスをした。
「…………」
そういえば、この家に来てから何回か高熱出してるんだよな、私。
ホントに身体を鍛えねば……。
…………
「うおおおお! 身体あっためるって、このことかあ!! だまされたっ!!」
「ほらほら。湯上がりの方が身体が柔らかくなるんだから」
私、ベッド上で、両足広げて柔軟体操させられてます。
スティーブンさんは、容赦なく私の背中を押して体重をかけてくる。
「背骨がボキッと折れる! 湯上がりじゃないし! 水風呂だしっ!」
「泣くんじゃない。痛いのは最初だけ。すぐ慣れるから」
「いーやー!」
「耐えてくれ。辛いのは僕も同じだよ、ハルカ。
君の泣き声に、どれだけ胸が痛むか」
嘘つけ! 声が楽しそうだし! 顔見えないけど、絶対笑ってるしっ!!