第4章 開き直りました
しかし畜生であろうと家主だ。逆らえぬ。
『早くベッドに入りなさい』と言いたげに私の方をじーっと見てるので、私も渋々パジャマに着替えた。
そして、よっこらしょっとベッドに入った。
うわ、スティーブンさんが身体押しつけてくる。
ぬっくい。もふもふ! もふもふ!! 動物体温、温かいなあ!!
「はあ~、幸せ……」
一転してベタベタし、もふりまくる私。
うなるな。甘噛みするな。
「もしかして私に動物扱いされるのが嫌なんですか?」
ちょっとうなずかれた。
プライド高いなあ。オオカミだからか、スティーブンさんだからか。
でも頭を撫でると目を細めてくれた。
タトゥーは毛皮に埋もれちゃってるけど、目元の傷はスティーブンさんそのものだ。
するとスティーブンさん、こちらをじっと見てくる。
つぶらな瞳が私を映してる。
何か言いたそうだ。
「どうしました? 眼球くりぬかれたいんですか?……いやあああ!!」
ジョークジョーク、ホント甘噛み止めて。腕に跡がつきそうっす!!
しかし察しが悪いことに定評のある私。
スティーブンさんが何を言いたいか分からず困っていると、
「!!」
スティーブンさん、ちょんっと、私の唇に触れる。
そしてスティーブンさんはすぐ顔を離し、ちょっと私を見る。もふもふ尻尾が揺れておる。
あ! おやすみ前のキスかっ!!
だが感慨に浸るより、
「鼻、しめってる」
スティーブンさんの鼻に触れる。
すると瞬時に、
「ちょっと! うならない、うならない!! 可愛い! 可愛いですからスティーブンさん!!
だから噛むなーっ!! ちょっと! 怒らないで下さいよ!!」
すっかりすねて、私に背を向け丸まっちゃったスティーブンさん。
「冗談だから仲良く一緒に寝ましょうよ~」
デカい背中をゆっさゆさ揺すってなだめた。
でも無視されるので、仕方なく部屋の電気を消し、背中に抱きつくように横になった。
しかし……動物の体温って高いんだなあ。
心臓の鼓動も早い。とても安心する。
私はスティーブンさんの丸いもふもふ背中にしがみつき……。
「…………」
くかーっと、眠ってしまいましたとさ。