• テキストサイズ

【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第4章 開き直りました


■閑話「オオカミになられた話」

 
「こんにちはこんばんは、ハルカでございます。
 ん? 唐突に『閑話』って何だよって?
 いえ暗めな話が続くから軽いのを入れるのもアリかなあと。
 まあまあ、たまにはいいじゃないですか」

「ミス・ハルカ? どうされました?」
 
 ――はっ!

「わ、私は今何を口走って……!!」

 慌ててキョロキョロと周囲を見回す。

 ここはスティーブンさんのおうち。
 そしてリビングにはクラウスさんと、クラウスさんの執事のギルベルトさん、他一名がいる。
「今のお話は独り言ですか? ミス・ハルカ」
「す、すみません。急に電波が降ってきて、ついそれと歓談を……!」

「無理もありません。スティーブンがこんなことになり、心労も大きいことでしょう」

 私の奇行を紳士的に流し、心配そうにしてくれるクラウスさん。
 素敵な人だなあ。未だに何を考えてるか分からんマフィアのナンバー2(推測)とは大違いである。

 ……動物のうなり声が聞こえた。

「スティーブン。どうしたのだ。落ち着きたまえ」
 クラウスさんが、目線を下ろして声をかけた。


 そこにオオカミがいた。


 真っ黒なオオカミ。目元に思いっきり目立つ傷があった。

 お気づきであろう。この『オオカミ』が私の恋人『スティーブン・A・スターフェイズ』である。
 

 今日もまた簡単な掃除だけしてお小遣いでブラブラして、家でゴロゴロするという自堕落な生活にいそしんでたら、クラウスさんがやってきた。

 執事さんと……デカいオオカミを連れて。

 何か私に向かって、うなっているんですがっ!!

「どうしてこんなことになったんです?」
 クラウスさんはすまなさそうに、

「戦闘中に私を庇って、獣化の光線を浴びてしまったのです」

 本当に、何でもありの街だなあ。

「ご安心を。変化したのは外見だけで理性は保っております。
 知性や人間性に何ら影響はありません。
 病院の診断では投薬と安静により、数日から一週間で獣化が解けるとのことです」

「知性や人間性に影響はない……ねえ」
 
 ……やっぱり私に向かってうなってきてないか?

/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp