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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第4章 開き直りました



 もう一度シャッター音。


「ち、ちょっと!? スティーブンさんっ!?」
 余韻をぶん投げ、慌てて起き上がった。

「何、勝手に撮ってんですか!!」
 スマホを分捕ろうとしたが、敵は『はいはい』と片手で私の頭を押さえ、

「大丈夫、よく撮れてるよ。気だるい感じが艶めいている」
 頭を押さえられジタバタ。
「あ、そうですか? それは良かっ――良いわけあるか! じゃ、私にも撮らせて下さいっ!!」

 枕元のMyスマホ(貸与品)を手に取り、操作しようとした。が、カメラも操作制限かかってるし!!

「カメラくらい良いじゃないですか! お子様スマホだってカメラくらい使えますよ!?」
「ハルカ、肖像権って知ってるかい? 勝手に人の写真を撮るのはマナー違反だよ」

「それとカメラ機能の使用不使用は関係ないでしょう! てか、今しがた勝手に撮ったあなたが言いますか!!」

 敵はスマホをいじって、大真面目に私の写真を編集している。

「許可は取っただろう? 昨日、君に写真を送ってくれるよう頼んだじゃないか」
 いきなり裸の写真が欲しいとか、犯罪にしか思えなかったあの頼み事か!

「だからって、なし崩しにその後も撮影OKになるわけないし!
 ……何で私の写真が欲しいんですか? 昨日も言った通り誰かに見られたらヤバいし、ここに私がいるでしょう?」

 どうにか敵のスマホを取ろうと四苦八苦してると、

「……最近、君の顔がよく思い浮かぶんだ」

「え? 走馬灯っすか?」
「何の話だ」

 また、コツンとこぶしで頭をつつかれた。あいた。

 スティーブンさんはスマホをしまい、横になった。
 私に肩まで布団をかけ、抱き寄せてくる。

「……今までは何とも思っていなかったんだ。
 心にもない言葉を口にすること、好みでも何でもない相手をエスコートし、身体に触れること。
 全ては目的のためで、罪悪感すらなかった」

 説明不足もはなはだしい言葉だが、問いただしても返答は来ない気がした。

 そして――なぜか、スティーブンさんが言おうとしているコトの意味が、分かる気がした。

「最近は、そんなことをしようとすると君の顔が浮かぶ。裏切られて傷つき、泣いている顔だ」

 私を抱き寄せたまま、スティーブンさんの話は続く。

 というか話が意味不明なだけに眠くなってきた。

 マジ眠い……。

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