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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第4章 開き直りました



 変なものでも食べたかなあ。
 とにかくまた高熱が出た。

「すみません、スティーブンさん」
「気にしないでくれ。僕こそ本当は休んで君についていてあげたいのに……ごめん」

 ネクタイを締めながら、スティーブンさんは辛そうだった。

「……お仕事、行って下さい……」
 身体が熱くて苦しいけど、どうにか微笑んだ。

「スティーブンさんが、私を助けて下さって、良かったです……。
 でなかったら、冷却ジェルも氷のうも使えなかったし」

 高熱が出たとき、身体を冷たくするものが使えないって結構怖いっすな。
 ホームレス生活中に病気にならなくてホントに良かった。

「そうだね。君の面倒を見られるのは、僕だけだと分かっただろう?」
「あ……うん。ええ」

 若干、危険なことを言われた気がしないでもないが、スティーブンさんが満足そうだからいいか。

「エスメラルダ式血凍道――!!」

 そしてスティーブンさんは、血凍道で、私の身長ほどもある氷を出した。
 私の枕元に大きなタライを用意し、その中にドンッと、その氷を入れた。

「予備の氷はこれでいいかな。エアコン代わりにもなるし。
 ここに置いておくから、新しい氷が欲しかったらここから砕いてくれ」
「え?」
 そらまあ、私は冷凍庫使えない身体だけど……。

 でも40℃の熱出してる人間に、氷を直に砕かせるとかハードル高くね!?
 スターフェイズジョークか!? すっごい寒くね!?


 それはさておき、氷のうに水枕、スティーブンさんの氷で冷やした水あれこれ。色々用意していただいた。
 けど、スティーブンさんはまだ心配そうだ。

「39.5℃か……どうしても苦しくなったら、僕に連絡してくれ。救急車を手配する」

 そろそろ、マジで仕事に行かねばならないらしいスティーブンさん。

「スティーブンさん……大丈夫です……ゴホッゴホッ」
「ハルカ!!」
 私の背をさすりながら、スティーブンさんは自分の方が苦しそう。

「やはり今日は君について――」
「大丈夫です、スティーブンさん……私より仕事を……」
「ごめん、ハルカ」

 スティーブンさんは、私を抱きしめキスをした。


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