第4章 開き直りました
その後はドロドロがあったり、ひどいことをされた――というワケではなかった。
でも私の方があきらかにぎこちなかった。
「スティーブンさ……気持ち、いい……もっと、奥……っ」
自分はあの女の人より満足させられてるんだろうか。
あの女の人と比べられてないだろうか。
そんなことばかり、気になってしまって。
「ハルカ、可愛いよ。ほら、もっと腰を上げて」
「…はい……っ……あ……」
ぎこちない反応を含めて楽しまれてる気がしないでもなかったけど。
「スティーブンさん……っ……――っ!」
でも、どうにか終わった。
二回戦に備え、息を整えていると、
「今日はもう寝ようか」
「へ?」
1ラウンドで終わるなんて珍しい。
失望させてしまった?飽きられた?という不安で私はキョドる。
ただ、スティーブンさんは全部お見通しだったみたいだ。
私にキスをしながら、
「こら。もしかして僕の持続力を疑ってるのか?」
冗談めかして言われた。
「え? いえ全然違うし……ん」
こめかみをこぶしでグリグリ。久しぶりだな~。
「……て、痛い痛い痛い痛いっ!! DVっすよ、スティーブンさんっ!!」
「そうだったな。君への体罰はこっちだった」
言うが早いかほっぺたをつままれた!
「ちょっ! つまむな、引っ張るな。顔が伸びる!! 口がでかくなる! 物が食べやすくなる!」
「そうなのかい?」
スティーブンさんはツッコミが少しズレてるのが難点だなあ。あと手を離せ。
「こらハルカ。今、僕の評価をこそっと下げただろう?」
「いえいえいえ。加齢による持続力の衰えは健全に歳を重ねている証拠であり、それにより人間性男性性を否定するのは前時代的――いだだだだだだだ!!」
「じゃあやってやろうか!? 夜明けの光が見えるまで君を犯してやろうか!?」
「じじじじじ自分でネタ振っといて、逆ギレって大人げなくないですか!?」
キャーキャーと二人してベッドの上で裸で騒ぎ合ったのであった。
……何やってんだ私。
…………
そして私はスティーブンさんにもたれ、ベッドで過ごす。
「ほら、口を開けて」
「あーん」
口を開けると、宝石のごときチョコが入ってきた。
おみやげのチョコレートである。
事後の疲れもあり、誘惑に膝を突いてしまった。