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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 十数分後。

 私はスマホに切れ気味に言った。
「だからさっきのは冗談ですって! 朝からそんな変態な写真撮りたくないですよ!」
『…………』

「第一、歳の離れたガキの裸の写真ですよ? そんな危険すぎるもんをスマホに保存して、万が一にも他の方に見つかったらどうすんですか!!」
『…………』

「安全確認なら今電話でしてるし、今朝の朝刊を片手に持った普通の自撮り写真だって送ったでしょう?」
『…………』

 さすがに反論出来ないのか、敵は沈黙を続けている。

 まあ私だってスティーブンさんの写真が欲しいか欲しくないかと言われれば、断然欲しい。
 向こうもそう思ってくれるのなら、すごく嬉しいことだ。

「その、私の、そういう写真、ご所望でしたら、帰ってから撮影していいですから……」
 指を絡ませ、若干顔を赤くしながら言うと、

『今、ほしい』

「…………」

 必死か! 何でそこまで必死なんすか!
 
『…………でもそこまで嫌なら、無理しなくていいよ』
 あ。もっのすごい声のトーンが下がっている。

 何でも言うことを聞くって約束した翌日に、これだもんなー。
 これは帰ったとき、それなりの制裁を覚悟せねばならないのか? 
 
「わ、分かりましたよ……ち、ちょっと待って下さい。でも必ず、目につかない場所に保存して下さいね!?」
 顔を真っ赤にしながら言うと、

『任せておけ。それと君の新しい下着と、外出用の服をクローゼットに入れておいたから』
 急に雄弁になるなあ。

「…………はい」

 パーッと明るくなった声に、若干冷たい返答をしながら、私は電話を切ったのであった。

 そして重い足取りで自室に向かう。

「…………」

 喉をゴクッと鳴らし、大きく深呼吸。
 そして自室のクローゼットを開ける!

「うわー……」

 中の服は、いかにもニューヨーカーという感じの、ストリートっぽいけど同時にオサレなものばっか。
 上品すぎるのも派手すぎるのもNG、という私の好みがちゃんと考慮されている。
 でも、すごく高いんじゃないの、これ。
 うっとりと服に顔をこすりつけていて、ハッとする。

 いかん。家主が私の悩殺写真をお待ちなのだ。

「下着入れ、下着入れ……」

 クローゼットの中の下着入れを見つけ、ためらいつつそーっと開ける。

 するとそこには――。

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