第3章 開き直られました
スティーブンさんは口元を引きつらせ、
「ハルカ。君、今変なことを考えただろう?
間違ってもそういうものじゃないからな!?」
「じゃあ何なんです?」
「……これに関する情報が外部に流出するのは死活問題になる。
君の身の安全のためにも話せないだけで――」
「承知しております。マフィアのナンバー2なら、女に話せぬ秘密の一つや二つはあってしかるべき。
私はその程度のことで、スティーブンさんを哀れみこそすれ軽蔑はいたしません」
「哀れんではいるのか? というか君、好きだな。マフィア設定」
私の頬をむにむにしながら、とりあえずツッコミは入れてくれた。そして、
「じゃあ飲んでみるかい? 僕の氷を、君の口の中にたっぷりと入れてあげる」
ニヤリと邪悪に笑う。私はゾッとして、
「止めて下さい。頭がキーンとなるから。かき氷なんて目じゃないから」
「ほらハルカ。怖くないからお口をあーんと開けてごらん。君の大好きなものを入れてあげるから」
敵はニヤニヤしながら私の口をこじ開けようとし――。
「……そういえば、確か約束してたな。『次』は僕のを舐めてくれるって」
「はあ!?」
一転しての真顔に、私は目を見開いた。
そ、そういえば、前にそんな会話があったような無かったような……。
「ハルカ……いいかい?」
スティーブンさん、ギシッと、ベッドに私を押し倒す。
おふざけは終わりらしい。
「ものすごい良い笑顔で言わないで下さい」
「ご褒美に、僕の氷を食べさせてあげるから」
「体組織由来の氷なんていらないですよ」
「……僕がバスルームでどれだけ耐えていたか、君には分からないだろう?」
知りたくもございませんが。あと力技で話の軌道修正をしてこないで。
「バスタブでくつろぐ君を犯したくてしょうがなかった」
サラッと未遂告白、ありがとうございます。
「今だって……自分を抑えるのに必死なんだぞ?」
「あ、はい」
今の私はベビードールと……まあ、つまるところTバック。
ものすごい格好である。
こんな相手を、よくシラフで介抱出来たもんだ。
「これ以上は本当に我慢の限界なんだ……いいかな?」
「お、オッケーです」
ついつい親指立てると、
「……調子狂うなあ、君って子は」
苦笑されたけど、優しく抱きしめられた。