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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 スティーブンさんは私の頭にご自分のお顔を乗せてため息。
 いや重いって。

「僕は君と一緒に風呂に入って、君があの下着を着てくれるのが楽しみで仕方がないのに。
 君ときたら、さっきから僕を焦らして楽しんで……何て子だ」

 は? どんな超解釈!?
 大人の女の人の『焦らす』っていうのは、もう少し違った感じだと思うんだけど。
 でもスティーブンさん、心なしか身体が熱い。

「ハルカ……春の風をまとっていない君も好きだよ」
 うなじにキスをされた。

「これが君の本当の体温か……そんなことにも興奮してしまう僕に、呆れないでほしい」
「ん……いえ」

 真剣な声で言われると、顔が赤くなってしまう。
 でもおかげで緊張もほぐれてきた。
 これなら、どうにか脱げそう。
 
「バスタブにお湯張って下さったんでしょ? 先につかってきて下さい」
「嫌だ」
「おかげで緊張も解けました。ちゃんと脱げますよ」
「ダメだ。僕が脱がせると決めた。僕が命令するまで動かないで」
「マジっすか」
「こらハルカ。手が動いている」
「あ。すみません」

 ……て、今の、謝るとこなのか?
 だけどスティーブンさんは着々と私を脱がし出した。

「腕を上げて。上着を脱ぐよ……て、ハルカ」
「は、はい!?」

 スティーブンさんの声が、少し不機嫌そうになる。
 何かご機嫌を損ねたかとビクッとするが。

「またこんな下着を着て」

 うわ。ブラのヒモをひっぱらんで下さい。
 ちなみに『こんな』とは量販店で買った10点○○ゼーロの激安品の下着のことだ。

 安さの代償として『着れれば良い』感満載。
 生地も粗悪なら、色気もゼロである。

「君は若いし可愛いんだから、もっとちゃんとしたものを買いなさい」

 こら。ブラの谷間部分をクイッと引っ張るな!

「で、でもこういうシンプルなデザインの方が落ち着くし、それにホテルに行くって知らなかったし……」

 もごもご。ちなみにスティーブンさんと、夜に『ありそう』と思ったときは、ちゃんとシャワー後にソレ用の下着に着替えてます。

「浪費癖がないのと、安かろう悪かろうの品を好んで買うのは少し違うよ。ハルカ」

 人の下着のチョイスに苦言を呈しつつ、顔が赤い気がするが気のせいすか。
 
 照れ隠し? いや、まさかね。

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