第3章 開き直られました
そしてまあ、当然の流れというか風呂に入ろうということになったが。
「ハルカ。ハルカ? 早く来ないと朝になるぞ?」
「あ……いや、まあ……」
「湯だって貼った。肩こりに効く入浴剤も入れた。あとは僕たちが入るだけだぞ?」
入り口でもじもじしてるこちらに、スティーブンさんはニヤニヤと手招き。あ、まだ脱いでませんので。
……あと入浴剤は、あなた用に思えるのですが。
「下着を出しておくよ……なるほど。あいつにしては、まあまあのセンスじゃないか」
スティーブンさん、勝手に私が買ったランジェリーを広げてる。
止めて! 凝視しないでっ!!
ロリっぽいデザインのベビードールに、限りなく布地の少ないレースのショーツ。
見れば見るほどエロ下着である。一番大事なところだけ『どうにか!ギリギリ!かろうじて!』隠してる程度だし!
「そ、それは……! ザップさんに言われて、仕方なく……!!」
「分かってる分かってる。まあ、別にいいよ」
それにしても機嫌がいいな。他の男と選んだ下着なんて、下手すればダストボックスまっしぐらかと思ったのに。
「!」
スティーブンさんは私の肩に手を回し、抱き寄せる。
たくましい腕が、頬に触れた。
彼は私の額にキスをして、
「こういうのを着て、僕に喜んでもらいたいと思ったんだろう? 君がそう思ってくれたというだけで嬉しすぎるよ」
「…………」
カァッと顔が真っ赤になる。
スティーブンさんは唇に軽くキスをし、鼻歌交じりにジャケットを脱ぎ、ネクタイをシュッとほどいた。
「ハルカ。君も脱いで」
「あ……はい、そ、ですね……」
な、何だろう。ベッドでなくお風呂となると、また別の恥ずかしさがこみ上げる。
「ああああの、スティーブンさん、お先に――」
「…………。何か言ったかな、ハルカ?」
圧!
凄まじい『圧』が来たぞ、今!!
「まさか。君のためにここを探して、一番良い部屋を取って、肩こりに効く最高の入浴剤を取り寄せて。そ・れ・で! 一人で入るつもりだと?」
「はははははは入ります! ご一緒させて下さいっ!!」
脅しに屈し、半泣きで謝った。
……あと入浴剤はやっぱどう聞いても、あなた用でしょうが!
今度、肩もんであげようかなあ。