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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 わたくしハルカ。
 現在ソファにて膝枕をし(重い)、仕事に疲れた家主を慰める大役を仰せつかっております。
 とりあえず必死で褒めてます。

「スティーブンさん、超クールっす」
「全然イケてない」
「大人で仕事も料理も出来てサイコー!」
「だめだめ」
「スーツを着こなす割に、目元に傷があったりタトゥーが見えたりするのが危ない感じでキュンとします」
「いやいや。もっとこうさあ」
「氷の足技とか、すごくスマートでシビれます」
「何か違うかなあ」
「……とにかく全部好き」
「ありきたりだな。やり直し」

 だ、ダメ出しがひでぇ!!

 でも口元ちょっと緩んでるし!! ホントは嬉しいくせに!!

「よーしよし」
 
 そして最終的に単語の在庫が尽き、全力で撫でるしかなくなった。
「何だよ、ハルカ。くすぐったいぞ」
 私を見上げ、ニヤニヤと、人差し指で私の頬をつつく。

「ほら、まだあるだろ。次。次」
 なぜそこまで褒められたがる!

「隠れナルシストという衝撃は好き……でもない」

 するとスティーブンさん、目を丸くし、ははっと噴き出した。

「正直だね、ハルカ。でもさすがに、ナルシストはないなあ。
 自分に酔うなんて、気持ち悪い性癖は無いよ」

 私はスティーブンさんの目元の傷をつつっと撫でながら、
「だーって、褒めさせまくってるくせに」
 スティーブンさんはくすぐったそうに、私の人差し指をつかまえ、口づける。

「違うよ。君だからだ。世界最高の賛辞を聞いている気分になれる」

 私、目をぱちくりさせる。

「ホント?」

「本当、本当」

 スティーブンさん、ちょっと顔が赤い。

「癒やされますか?」

「最高の癒やしだよ。可愛いハルカに、柔らかい枕」

 すりすりするな、変態。あとお尻をさりげなく触ってくるなっての。

「ではダメ出しを食らいまくる私にも癒やしを」
「ん?」

「私を褒めてください。遠慮無く。さあ。さあ!」

 ダメ出しをしまくってやる!
 するとスティーブンさん、仰向けで私を見上げ、

「……うーん。生意気なとこ、必死なとこ、上手に嘘をつけないとこ、のんびりしてるとこ――どうしたんだい、ハルカ」

「それ、褒め言葉じゃないし」
「そう? 僕は好きだよ?」

 いや、そういう風に言われるのもちょっと……。

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