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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 さて、謎の暗室(多分、スティーブン邸の一角)にて、なぜか私はクラウスさんと対峙しています。

「というか、何の企みなんすかスティーブンさん。私は次なるバイトを探さねばならないのです」
「それだ」
「な?」

 私にもスポットライトが当たる。いやホント誰がやってんのコレ。

「君は困難な状況にあってもなお、自分で生きる道を探している強い子だ」
「うむ。うら若き身で、実に立派なことだと私も常々思っている」
 スティーブンさんに続き、うんうんとうなずくクラウスさん。

「……。だけど僕に何も言わず、勝手に決めてしまう傾向だけはいただけない」
「その通りだ。是非とも我々に一言、相談してくれたまえ」
 またもうなずく、クラウスさん。

「…………。そこで、仕事をしたいという君の要望と、僕の希望を同時に叶えられる方法を考えた」
「それは何かね、スティーブン? 是非とも拝聴したい」
「…………あのさ、クラウス。悪いけど少しだけ黙っててくれないか?」

 同感。テンポ崩れますもんなー、クラウスさんがいると。

 …………

 そしてスティーブンさんが話したことに、私は驚愕した。

「私が、あなたの会社の人たちの仮眠係になるんですか!?」

 だけど、すぐに私は眉をひそめ、

「あの……そんなに徹夜とかする人が多いんですか? スティーブンさんの会社って」

 わたくし、少し冷たい目でクラウスさんを見る。この人が会社の社長さんだと聞いた。
 するとクラウスさんは、見るからに焦りだし、
「も、もちろん責任者として皆に負担をかけていることには申し訳なく思う!
 だが我々の使命の性質上、定時での終業がままならないことも多く、もちろん各種手当ては滞りなく――」
 私は首をかしげる。
「『使命』? スティーブンさんのお勤め先って、普通の会社ですよね?」

「…………異界と現世の架け橋になるという企業的使命さ。
 あとクラウス。二度も言わせないでくれ。少し、口を閉じて」
「承知した」
 ……クラウスさん、一応あなたの上司ですよね?

 スティーブンさんはコホンと咳払い。

「こんな街での商売だから、色々勤務内容が不規則なんだ。僕レベルはそういないだろうが、疲弊している奴は多い」

「ふむ」

「君にはわかりにくいかもしれないが、たった一、二時間の仮眠では、熟睡出来ないものなんだ」

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