第3章 開き直られました
「あー、ハルカっ!!」
「レオナルドさん!」
公園ではレオナルドさんに再会した。
ベンチで、屋台で買ったワッフルを頬張る私を見つけ、バタバタと駆け寄ってきた。
「昨日はごめん! 大丈夫だった!? スティーブンさんに何かされなかった!?」
大丈夫では無かった。何かされた。
そして『ごめん』も何も、完全に見捨ててましたよね?
「ま、まあどうにか……スティーブンさん、優しいですし」
あいまいに笑った。
そしてベンチに並んで座り、二人でお昼ご飯を取った。
噴水に遊ぶ子供たち。静かな午後の時間。
異界人の人たちがいなかったら、普通の公園だ。
「ふうん。スティーブンさんの家にしばらく住むことにしたんだ」
コークをずずーっと、吸いながらレオナルドさん。
私は薬を口に放り、パインジュースと一緒に流し込んだ。
「その、お掃除とか家のことをするついでに……で、でもそのうち出て行く予定ですが」
「ふうん」
レオナルドさんは、特に何か言ったりしない。まあ上司の女関係には、あまり口出ししたくないわな。
「何かあったらすぐ俺に言って。あ、番号を交換しとこ」
スマホを取り出し、笑う。
その笑顔にホッとする。レオナルドさんも色々あるみたいだけど、頑張ってやってるみたい。
一緒にいると、なぜか勇気づけられる。
こんな街だけどレオナルドさんみたいな、良い人に出会えて本当に良かった。
しかし低い声で聞かれた。
「ところでハルカ。添い寝カフェのバイト、まだやってるの?」
「……えーと……ま、まあ」
思いっきり目をそらしながら言ったが、
「ハルカ? 俺、危険だって言ったよね?」
「…………は、早めに次のお仕事を探します」
お兄さん属性はちょっとウザかった……。
…………
あと、お店に帰るとき、店頭看板を目にした。
「私の写真、載せないでって言ったのに……」
宣伝写真の中に、私の写真もあった。可愛い路線で売りたいのか、モコモコパジャマ姿でぬいぐるみを抱きしめ笑ってる。
ついでに吹き出しシールがついてて『あなたと一緒に眠りたいにゃ!』と丸文字で書かれてた。
そんな痛いセリフを吐いた覚えはねえ!
…………
午後イチのお客さんは、コートを着た強面の男性であった。
ブリゲイドさんというお名前らしい。