第3章 開き直られました
そして軽く身体をきれいにし、あとは二人で抱き合って夜のまどろみの中へ。
アロマの良い匂い。ベッドサイドランプの薄明かり。
ベッドの中、スティーブンさんは私の横で、優しく微笑む。
「ハルカ、寒くないかい?」
「私のまわりは常に春ですゆえ」
「そうだったね」
でもスティーブンさんは私の肩までちゃんと布団をかけ、ポンポンと寝かしつけるようにする。
うう、まだ子供扱いされてる気分。
でも腕枕をされ、ほんのり幸せ。
嬉しくて甘えたくなり、身体を寄せるようにすると、
「……ごめん、あんまり身体をくっつけないでくれないか?」
「え?」
やんわりと拒否られた!! やっぱり釣った魚に用はないのか!? ひそかにショックを受けていると、
「ち、違うんだよ! あまり君に身体を押しつけられると……その……また、シたくなるかも……」
大人が照れながら言う。
「私は構いませんが」
「こら」
額を人差し指でつつかれる。
「初めてなのに、無理をさせられるわけがないだろう?」
まあ確かにそうなのですが。
ホッとしたようなガッカリしたような……。
それとスティーブンさんは真面目な顔になり、
「あとハルカ。明日、仕事が終わったら今後のことについて、しっかり話し合おう」
なし崩しにスティーブンさんの家に……という道もあるのだろう。もしかしたらそのことを言われるかもしれないけど、私は気が進まない。
私も今後のことは色々お話し合いしたかった。
「仕事といえば、実は私、新しいお仕事を始めましてですね」
「辞めなさい。それじゃ、そろそろ寝ようか……正直、君の呪いに逆らって起き続けるのも限界でさ……」
あくびをするスティーブンさん。
てか、私のお仕事報告をサラッと流したっ!!
「でもですね。とても時給の良いお仕事で……」
「ハルカも寝て寝て。何なら子守歌でも歌おうか?」
「No Thank youっす」
私は笑ってあくびをし、スティーブンさんの腕の中に丸まった。
何だかんだで私も初めてのことだらけで疲れている。
目を閉じると睡魔は自然にやってきた。
「おやすみ、ハルカ」
「おやすみなさい」
額にキスをする気配。
そして私は幸せな気分で、眠りについた。