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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 スティーブンさんは、まだ固まってる私を見下ろし、

「別に怖いことじゃないよ、ハルカ。すごく気持ちのいいことだ。愛し合ってる人たちは皆、やってる」
「いやあ、別に私たち愛し合っては――」

 嫌いではないし、カッコいい人だと思うのだが、まだまだLoveというよりはLike。
 しかも私からの好感度は、徐々に下降しておる。

「ハルカ?」

 ヤバい。敵の空気が一変した。腰に置かれた手が力を増すっ!!
 冷気を感じる。これ以上否定的な言動をしたら、氷のオブジェにされてリビングに飾られる! こんな格好で! こんな格好で!

「好きです。大好きです、スティーブンさん!! 尊敬しております!」
 必死に強弁していると、ははっと、笑う声。
 ん? それほど怒ってなかった?
「いつもよりは殊勝だけど。相変わらず、生きとし生けるもの全てにケンカを売るスタイルだね、ハルカは」
 待て。いや待て。
 多少生意気な自覚はあるけど、そこまで反社会的人間じゃないわっ!!

「ムッとした。緊張は少しはほぐれた?」
 笑って、こぶしで軽くこめかみをつついてくる。

「…………」
 からかわれたと知り、ぷいっと顔をそらす。

「ごめんごめん、怒らないでくれよ、王女様」
 ベッドの前まで来たところで、ふわっと抱き上げられ、そっとベッドに横たえられる。
「っ!」
 ゆるく結んだバスローブの前が開きかけ、チラッと下着がのぞいたので、大慌てで両手で前を押さえた。
 緊張状態、再びである。

「着てくれたんだ」

 ベッドに両手をつき、ゆっくりと覆い被さりながら、スティーブンさん。
 自分で用意しといて何を白々しい……と思いつつも、心臓がばくばくで今にも止まりそう。

 あああああ! バカバカバカ!! 何でこんなことになった! 
 なんでドアにしがみついてでも、レオナルドさんの家に留まらなかったんだ私!
 ……自業自得か。
 私を妹さんみたいに扱ってくれたレオナルドさんが、何でスティーブンさんを止めなかった!?
 冷えたピザを食うのが嫌だったから? 相手が上司だから? 否! 
 ……私が、本気で嫌がってなかったからだ。
 
 うんまあ……そこまで、嫌じゃない。

 スティーブンさんの顔を見ていると、ドキドキする。

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