第3章 開き直られました
前回までの詳細なあらすじ。
呪いは解けませんでした。
新しい仕事も見つかって、ウキウキ新生活スタート♪
……と思いきや、氷の悪魔(30代)に連れ戻されました。
あと、よく分からんけど、これからヤるらしいです。
「…………」
シャワールームから出て、濡れた頭を抱える。
ど う し て こ う な っ た 。
だが答える人はない。
そして、ここから逃げるルートは無いらしい。
「どうしようどうしようどうしよう……」
たっぷり三十秒ほどブツブツ呟き、
「……髪、乾かそ」
とりあえずドライヤーにスイッチを入れた。
「うわあああ!!」
呪いのせいで、熱風が瞬時に冷風になり、私は苦痛に悶えたのであった。
…………
そーっと寝室のドアを開けると、
「ハルカ」
パジャマ姿で先にベッドにいたスティーブンさん。
私に気づき、嬉しそう。
「あ、あの……」
だが私はドア付近で硬直。改めて、緊張でガクブルする。あと水風呂で寒かったし。
「照れているのかい? 可愛いな。寒いだろう、おいで」
読んでいた雑誌を脇に置き、ご機嫌で手招き。
確かに寒い。下着の上にバスローブだけだし。
確かパジャマを持って来たはずだったのに、なぜかバスローブに変わっていた。
そして量販店激安セールで買った、色気ゼロの下着を持っていったはずだった。
それが、高そうなエッチなデザインの下着に変わっていた! 経緯について説明しろっ!!
「その……あの……やっぱり、部屋で寝ようかなって……」
口から出たのは、逃げの言葉であった。
ガクブルするな! 声震わせるな! 敵に『怖がってる』と気づかれるなっ!!
「…………」
スティーブンさんがベッドから動き、ビクッとした。
敵はスリッパを履き、こっちに近づいてくる。
私は扉の柱にしがみつき、『ひぃぃ!』っと、暴行犯(予定)を見上げた。
けどスティーブンさんは笑う。
「ハルカ。大丈夫だよ。そう緊張しなくていいから」
愛おしげに私を見下ろし、腰を抱く。
先ほども言ったとおり、バスローブと下着だけなので、手の感触が鮮明でドギマギした。
敵は私を優しく、ベッドの方へ導いていった。