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【血界戦線】番頭さんに珈琲を

第3章 開き直られました



 新たに判明した事実があった。

 その一。レオナルドさんとザップさんは、スティーブンさんの部下である。
 その二。スティーブンさんはマフィアではなかった。
 その三。レオナルドさんと私が、恋人関係ではないとバレた。

 そして数分後。敵がレオナルドさんの家に乗り込んできた。


「GPSがこの家を指していたから、まさかとは思ったが、やっぱりそうだったか」
 と、スティーブンさん。

 笑顔ではあるが、全身から冷気と殺気が漂っている。ちなみに殺気を最も向けられているのは私である。

『はあ……』

 私たちは三人そろってソファに正座し、なぜか叱られる体勢であった。

「とりあえず、ハルカを保護してくれたことには礼を言おう、少年」
 腕組みし、上から目線。どうみても『礼を言おう』とは、無縁な感じの物言いだ。
 あと『少年』とはレオナルドさんのことらしい。

「ど、ど、どうも……」
 カタカタカタカタと震えているレオナルドさん。

「ザップも、勘違いに端を発しているとはいえ、彼女のために動いたことには礼を言ってやろう」
 さらに上からであった。
「…………あ、ハイ」
 電話越しに上司を罵倒してしまい、ガタガタガタガタ震えているザップさん。

「そしてハルカ」
「は、はいっ!!」
 怒声か体罰かとブルブルブルブル震えている私。

「レオナルドが恋人ではないのなら、なおのことだ。
 若い男女が同じ部屋に住むことは、到底許容出来ない。
 一旦、僕の家に戻るぞ」

 彼は私に手を伸ばすが、私は身を引く。

「い、い、い、いえ、それは、その……」

 車中のあんなやりとりがあった後では、危機感しか感じない。
 もう殺されるとかそういう次元ではなく――今、スティーブンさんちに帰ったら……色々とヤバい気がする。
 何がヤバいって? とにかく色々だ!!

 下手をすると、二度とあの家から出られなくなる。色々な意味でっ!!

 そもそも、一度はそちらの勝手な都合で『外』に放流しようとしといて、『やっぱり出られませんでした』『じゃあうちに帰ろうか』という流れは、微妙に受け入れがたいものがある。

 正直これ以上、振り回されたくはない。


 ……スティーブンさんから私への好感度は上がってるらしいが、私サイドはちょっと下がってたのである。

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