第3章 開き直られました
…………
「ええ!! 例のマフィアに見つかった!?」
携帯ゲーム機を操作しながら、レオナルドさんは驚愕する。
「また、エラい執着っぷりだなあ。何おまえ、実はアッチがすごいとか? そこんトコどうなんだ? レオ」
ザップさんもゲームをしながら私をじーっと見る。
特に胸と下半身を。この野郎……。
「俺に聞くなよ! てか、セクハラだからっ!!」
レオナルドさん、顔を真っ赤にして私の言いたいことを代弁して下さる。
「私だって知りませんよ。彼氏がいるって嘘をついて逃げようとしたんだけど、納得出来ないみたいで、直接話したがってて……」
機能制限されまくった、最新型のスマホを見せる。
「ええ!? お、俺はマフィアと直談判なんて……!!」
と、レオナルドさん。
「じゃあこの俺ちゃんに任せろ!!」
ザップさんが買って出た。
「どうせ、カッコだけ装った根暗野郎だって!」
「でも私をチンピラもろとも攻撃してきたことがあるんですが、そのときの技がすごくて――」
「攻撃って……ひどいな、その人」
ちょっと引いた感じのレオナルドさん。
一方、ザップさんはいかにも『悲憤に堪えない』という感じで、
「ますます許せねえ! そんな軟弱クズ野郎、俺が電話でビシッと天誅を下してやるよ!……だから、その最新スマホ、あとでお代として俺にくれねえ?」
最後の発言だけが本音だろ!?
「あ……まあ、考えときます。あ、さっそく電話が――」
スマホの画面に『Steven・A・Starphase』と表示される。
「え――?」
一緒に覗き込んだレオナルドさんが、なぜか硬直する。
何だ? スティーブンさんって、実は有名なマフィアだった?
「さっそく来たか。よし、俺様に任せな!!」
ザップさんがろくに表示を見ず電話を取る。レオナルドさんが真っ青な顔になり、
「ちょ、ちょっと待って!! ザップさん! その人――」
と止めたが、ザップさんは、ものすごいドスの利いた声で電話口に、
「おう、自称マフィア野郎!! てめえ! 俺の女に何の用だ!?」
だが、そのチンピラの顔が、五秒で凍りつく。
「え……?」
室内の体感気温が速やかに春から冬に急降下する中。
電話の向こうから静かな声が聞こえた。
『ザップ。そこに俺の女がいるだろう? 代わってくれないか?』