第3章 開き直られました
「夜更かししたら身体に悪いからって、私が帰りを待って起きてるのは禁止だし、珈琲以外の食べ物は何が何でも私と一緒に食べたし、心に傷をつけたくないからって手を出してこなかったし――!!」
レオナルドさんが、そーっと片手を上げる。
「……あの、その人、今どき珍しいくらい良い人なんじゃ……」
やっぱり?
…………
…………
「ふうん。それで帰ったフリをして、病院から出たんだ」
『他言はしない』という条件で、だいたいのコトを話した。
一目惚れされたとか、ご本人の主義ゆえに殺されそうになった~とかいうイタい箇所は伏せて。
「俺はその人のことを知らないから、何とも言えないけど、もっと、その人に頼っても良かったんじゃないの?
現に君と出会ったときだって、たまたま俺が配達で通りかからなかったら――」
そそそそそのことは言わないでほしい! と、トラウマがっ!!
「依存して自立しないのと、本当に困ったときに助けてもらうのは違うよ」
レオナルドさんが、真面目な顔で言う。
「ハルカは、何て言うか……自分一人で出来ないことまで自分でやろうとしてる。
だから、会って間も無い俺が見ても危なっかしくて仕方ない。
その人が君を心配してたのも分かるよ……ていうか、その人ホントにマフィアのアンダーボスなの?」
疑わしげなレオナルドさん。そういやスティーブンさんにも笑われたっけ。
「いやー、実は私が何となく思ってただけで。ものすごく、うさんくさい外見だったし」
「へえ。どんな外見なの? もしかして俺の知ってるマフィア組織かな。そのナンバー2やボスの名前は?」
「えーと、組織名は分からないですが、ご本人とボスの名前はですね――」
「……ふぁ……」
スティーブンさんとクラウスさんの名前を話そうとしたが、レオナルドさんは大あくびをした。
あ、そういえばお疲れなんだっけ。
「もう寝て下さい。あ、近くで寝ない限り、『覚醒遮断』の影響は及ばないと思います。
出来るだけ離れて寝て下さいね」
「ん……分かった……じゃ、俺はソファで……寝るから……」
けど、またコテンとベッドに倒れてしまった。ソニック君も引っ付くように一緒に寝て可愛い。
レオナルドさんにお布団をかけ、私は毛布を持って部屋の隅に行った。