第1章 再会ってはやくない!?
「おい、お前ら聞こえてんだよ。つーか乗ってねぇのお前らだけなんだからさっさと乗れ」
「はいは~い、さわやか主将の言うことは聞かないとね」
「そうだね、優等生の言うことは聞かないと」
原くんに合わせて私もつい冗談を言うとなぜか私だけにらまれた。
なんで?!
「今回越智さんは俺のいとこっていう設定なんで、あんまりバカなことはしないでください」
ということだった。
あ、了解です。
花宮のいとこ設定だからかバスでは花宮の隣に座ることになった。
こんなに近くで二人になるのはあの日以来なので地味に緊張する。
そういえば数週間の別れで花宮との距離感がリセットされてしまった気がするけど、花宮はどう思っているんだろうか。
マネージャー代理として私のことを呼び出してくれたんだから嫌われてはいないと思うんだけど。
そう思いながら花宮の顔を盗み見るとばちりと視線が合ってしまった。
「意識してるのばればれなんで、もうちょっと普通にしててください」
「へ?! い、意識なんてしてないけど!!」
「じゃあ年上らしく落ちついててください、大学生のお姉さん」
残念なものを見るような目でこちらを見てくる花宮。
ショックだ。
あほっぽすぎて幻滅されてしまっただろうか。
もしかして再会して花宮の態度が冷たいのは、元の生活に戻って我に返ったからだろうか。
やっぱあの女バカすぎるから無理だわ~とか思われていたらどうしよう。
でも全然ありえる!
だとしたら今回の合宿は見直してもらうチャンス。
部員のサポートをそつなくこなして困っている時にはそっとよりそう、頼られるようなお姉さんになろう。
新、越智まゆりだ。
間違っても花宮にため息をつかれるようであってはいけない。
うおお、頑張るぞー!!
新たな決意を胸にバスは合宿先へと発車した。