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君の計算を狂わせたい・続【黒バス/花宮】

第5章 君の計算を狂わせたい



……

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「それで、茂み覗いたらザキ白目むいてぶっ倒れてやんの!」

「その話何回すんだよ! もういいだろ!」

「だっておもろかったからさ〜」


隣に座る山崎くんが背もたれに片手をついて声を張り上げる。
私も後部座席をちらりと見ると、原くんがケタケタと笑いながら周りの部員たちと大笑いしていた。
少し離れた席では古橋くんが花宮に話しかけ、瀬戸くんがあくびをもらしている。

疲れたように息を吐きながら座り直した山崎くんは申し訳なさそうにこちらに視線を向けた。


「すんません、うるさくって」

「全然、賑やかで楽しいよ」


ごとんとたまに車体を跳ねさせるバスは、合宿所を離れ葉っぱの影が揺れる涼やかな道を進んでいた。


「でも越智さんが合宿終わってもマネージャー続けてくれることになって普通に嬉しいっす」

「うん、とりあえず夏休み中は皆のお手伝いができたらなって。私もバスケに興味がでてきちゃって」


夏休みの間、花宮の家にお邪魔しながら引き続きバスケ部のマネージャー業を手伝うことになった。
提案してきたのは花宮だった。

再び原くんの爆笑が耳に入る。


「あいつ……」


いよいよ立ち上がった山崎くんが後ろに歩いていくと、数秒もたたないうちに花宮の怒声が響く。
通路をはさんだ席に座っていた御手洗先生がくすくすと笑っていた。


「あの子たちいつも賑やかですよね」


御手洗先生はふふっと笑うと手元の書類に目を落とす。

そんな私の視界を遮るように、つかつかと苛立たしげに近づいてきた花宮が私の隣にぼすんと腰を下ろした。


「花宮、おつかれさま」

「ああ」

「後ろもういいの?」

「軽く脅したからもう大丈夫でしょう、俺は少し寝ます」


そう言うと花宮は目をつむった。

しゃわしゃわと鳴り響く蝉の喧騒。
窓の外に目をやると、葉っぱの影から真夏のまぶしい街並みが見えはじめていた。

一週間の疲れが溜まっていたのか、私にもほどよい眠気がやってくる。
到着にはまだまだ時間がかかるだろう。

学校に着いて、花宮の家に行って、それから……。
ふわりとした眠気に身を任せ、私もそっと目をとじた。




end.

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