第1章 再会ってはやくない!?
バスには先ほどから大勢の男の子たちが次々と乗り込んでいっている。
さすが男子バスケ部なのか、皆背が高くて体つきががっしりしていらっしゃる。
せっかくマネージャーになるんだから皆と仲良くなりたいんだけどなあ。
こんな男の子たちばっかりの中ででうまくやっていけるかなあ。
「あれえ、まゆりっちまだバス乗ってなかったの?」
「あ、原くん! いやあ、男の子ばっかだなあって思って」
「そりゃあ男バスだからね……一週間逆ハーレム生活じゃん、よかったね?」
そういって原くんはぷすっと笑った。
こいつめ、他人事だと思って……。
おととい一瞬でもかわいいと思ったのは撤回だ。
「そういえば……」
ふと気になったことがあったので聞いてみることにした。
「ねえ原くん。あれってさあ……」
「お、お目が高いですね、まゆりさん。気づいちゃった?」
私達の目線の先、バス乗降部の近くで先生と花宮が談笑しているのだが、花宮の顔のなんとさわやかなことか!
花宮のあんな笑顔はじめて見た!
私の知ってる花宮と別人すぎて違和感がはんぱない。
というかあれ花宮本人だよね?
花宮の兄弟とかじゃないよね?
「もしかして花宮って二重人格?」
「花宮AB型だしあながち二重人格って間違ってないかもね」
「あんなさわやかな笑顔はじめてみた……鳥肌たつ」
「同感~、でも花宮って皆の前ではいつもあんな感じだよ。勉強もスポーツもできておまけに品行方正な優等生。花宮が主将になってからバスケ部がもらえる部費高くなったの。ほんっと皆あいつの外面に騙されてるわ~」
うわあ。
でもあの完璧な優等生ぶりを見ると騙されるのもわかる気がする。
そして腹の中で騙されている人たちをあざ笑っている花宮も想像がつく。
うわあ。
そんなことを原くんと話していると二人の立ち話は終わったようで、先生がバスに乗り込んで行く。
それと同時に花宮の顔がさわやかスマイルからいつもの仏頂面に戻った。
それを見ていた原くんがぶはっとふきだす。
確かに面白い。