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君の計算を狂わせたい・続【黒バス/花宮】

第1章 再会ってはやくない!?




事の発端は、夏休みに入って急に決まった体育館の改修工事だった。
部活ができなくなってしまったバスケ部は急遽合宿を行うことにしたらしいのだが、そこでさらなる問題が浮上したらしい。
女子マネがいないため、マネージャー業務の人出がどうしても足りなくなってしまうのだと。

合宿となると料理をまかなう必要もでてくるため、今までマネージャー業務を担ってきた一年部員たちのみでやりくりするのは厳しいという結論が出され、そこで白羽の矢が立ったのが私、とのことだった。


「ちゃんと給料は出しますし、悪い話じゃないと思いますが?」
「割の良いバイトみたいなもんだよ」
「どうせ暇だろう」
「バカでもできるから安心しろ」


おーい、君たち人に物を頼む態度じゃないね? 
バカなんて言われて頼みを引き受けるほど私はバカじゃありませんけど?
 
なんて考えていたのは初めだけで、花宮の説明を受けているうちにあれよあれよと話は進んでいき、気づけば書面にしっかりと自分の名前を書いていた私。

おそろしい。
高校生にしてこの流れるような話術。
花宮が将来営業職に就いたら間違いなく敏腕セールスマンとなるだろう。

私のサインが記された書類を手に取った花宮はふはっと笑うと背筋が凍るような笑みを浮かべた。
私はもしかして悪魔の契約書にサインしてしまったのだろうか。

原くんの魔法によって一度家に戻された私は合宿中にどんな無理難題を課せられるのかとがくがく震えていたが、一日で色んな事が起こって疲れていたのか翌日の昼過ぎまでしっかり寝てしまって慌てて準備をするはめになってしまった。





あの契約書にサインをしてから二日後の朝。


「おはよう、瀬戸くん!」
「…………」

 
あいかわらず眠そうにあくびをしながらこちらに見向きもせずに通り過ぎていく瀬戸くん。
そんな彼が向かう先には何十人と乗れそうな大型バスがエンジン音を鳴らしている。

車体には有名な旅行会社のロゴマーク。
花宮たちが通う霧崎第一高校はお坊ちゃん校と呼ばれるような学校らしく、こういった行事のときには学校側がちゃんと手配をしてくれるのだそう。

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