第5章 君の計算を狂わせたい
夜9時を回った頃、すっかり暗くなった合宿所前に数十人の部員たちは集まっていた。
そんな部員たちの中で、一人花宮が眉を寄せている。
「肝試し? さすがになんの準備もなしに急にできるわけないだろう」
「それができちゃうんだなー、俺を誰だと思ってるの?」
原くんはこっそり、魔法使いの末裔だよ? といたずらっぽく笑った。
ここでそれを出すかー。
原くんは本当にイベント好きだ。
「じゃあ驚かす役は俺と他何人かに協力してもらうとして~、残った人は好きな人とペア組んでさっそく始めようかー!」
お化け系はあんまり得意じゃないけど、昨日あんなことがあったし気分転換にいいかも。
それに一週間という期間は短くて、明日は合宿最終日。
きっと明日を迎えたら皆とはもう会えなくなってしまうだろう。
たぶん、花宮とも……。
そう考えればこれはいい思い出作りになる。
さて、誰とペアを組もうかな。
できれば幽霊とか信じてなさそうな、頼もしい人と一緒に行きたいけど。
と視線をさまよわせると、ふいに花宮とばちりと目が合った。
「まゆりさんは花宮先輩とですよね。だって二人は付き合ってるんだし」
近くにいたせっかいやき気質の一年くんが話しかけてくる。
そういえば私と花宮、付き合ってることになってるんだった!