第5章 君の計算を狂わせたい
翌朝一番に、洗濯物の件で土下座してきたあの一年生達から再び謝られた。
「俺らのせいで体調まで崩しちゃって、どうやってお詫びすればいいか……」
そうとう花宮にこってり絞られたのか、かなり気まずげに彼らは頭を下げている。
そんな彼らに私は苦笑を浮かべた。
「自分の体力の限界もわからずに安請け合いしちゃった私も悪いし、そんなに謝らないでよ。ほら、頭上げて」
「いや、あの、本当に今回の一件に関しては俺らが全般的に悪いんで! まじですんませんでした」
なかなか頭を上げてくれない彼らに、じゃあ、と私は提案する。
「今回の反省は今後のバスケで見せてもらうってことで。ね、それでいい?」
「……うすっ」
「じゃあこの話はこれでおわり!」
一年生達はあまり納得していなさそうだったけど、私にだって非がないわけじゃないし。
彼らへの罰なんて私は望んでいない。
このくらいの曖昧な要求でおさめるのが吉だろう。
しかし花宮から新たにもらった今日からの予定表に、私の担当仕事としてマネージャー業務は書かれていなかった。
まあしょうがないか。
マネージャー業務をこなしきれなかったという実績が私にはついてしまったんだ。
午後の空いた時間には彼らの練習姿でも眺めていることにしよう。
そんなこんなで体調は戻ったものの、なんとなく沈んだ気持ちで一日を過ごしていた私の気持ちを察したのか察していないのか。
夜になって原くんが、私の沈んだ気持ちなんて吹き飛ばすようなとんでもない話題をもってきた。
「ねえ、こんなもの見つけたんだけど!!」
「なんだこの紙切れ……ドキドキ肝試しルート……?」
「そう! 更衣室のロッカーに入ってたの! この地図この辺のじゃね?」
「ここは霧崎第一高校の所有地だし、先代の高校生たちがここら辺で肝試しをした時のものかもしれない」
「ねえ、俺達もやろうよ! 肝試し!!」
そんな原くんの一声により、突如として肝試し大会は開催されたのだった。