第1章 再会ってはやくない!?
そんな彼らの中で、花宮を抜きにすると紫髪の男の子だけは見覚えがある。
あの日花宮を迎えにきた子だ。
名前は確か……。
「原だよ、覚えてる? 俺のこと」
「あ、原くん……うん、覚えてるよ!」
そう、原くん。
ポップな色の髪は相変わらず彼の目元を完全に隠しているが、よく笑みを見せる口元からか生まれる印象は悪くなくて、むしろこの中の誰よりも第一印象はいい。
私がずっと見ていたからか手をこちらにふりふりと振ってくる原君。
え、かわいい……。
私が原君に控えめに手を振り返していると、ようやく解放されたらしいトサカ頭くんが思い出したように興奮しだした。
「っていうか本当だったんだな! 人召喚できるとか原やべえよ!!」
「だから言ったっしょ? 俺すげーんだって」
「いや、非科学的すぎだから。質量保存とかどうなってんのって話だし」
「そのへんはぁ~、魔法の力?」
先ほど花宮に口を塞がれていたことなど忘れてしまったのか、トサカ頭くんは原君とともにゲラゲラと笑い出した。
気持ちの切り替えが早いらしい。
数分前の出来事をすぐわすれられるタイプか~、ある意味うらやましい。
ちなみに質量なんたらと頭のよさそうなツッコミを入れたのは離れたところで寝ていた男の子だ。
いつの間に起きていたのか、いつから話を聞いていたのか。
彼はゲラゲラと笑う二人をみて話が通じないと分かったのか、大きくため息をつくと再び目を閉じた。
ふと、近くから視線を感じて振り向くと、無表情くんが至近距離でこちらを見つめていた。
「うわっ!! び……くりした~! えっと……何かな?」
「単刀直入に聞く。花宮とはどんな関係なんだ?」
「えっ、花宮との関係!?」
ずいっと、感情の映らない瞳が近づいてきて思わずのけぞる。
真っ黒な深淵を思わせる瞳に思わず吸い込まれてしまいそうで思わず目をそらした。
急に何言いだすんだこの子!?
それに、そんなこと聞かれたって困る。
だってその答えは私が一番知りたいことだから。