第4章 本当の気持ちはどっち?
それは夕食後のことだった。
残る仕事をさっさと終わらせてバスケについて調べるぞ、と意気込んでランドリースペースに行くと、土下座をする一年生達がいた。
「うわっ!! びっくりした! え、なになに!? 何でこんなところで土下座してるの?」
「せーの」
「すみませんでしたあああああ!!!!」
「ええ!?」
頭を床につけたきれいな土下座だった。
え、何事!?
私何かしたっけ?
身に覚えがないんだけど。
と思ったけど私は気付いた。
「あれ? 洗濯物が増えてる?」
今日の分として花宮から受け取っていた洗濯物をランドリースペースに置いておいたのだけど、その洗濯物の山が二つほど増えているような?
「えっと、これはどういうことかな?」
「じ、実はかくかくしかじかでして……」
彼らが言うには、毎日大量の洗濯をするのは時間もかかるしめんどくさくて、本来なら一年生のなかでマネージャー業務は役割分担を決めていたらしいのだけど、二日前くらいから洗濯の仕事の押し付け合いが始まったらしい。
「つまり今日合わせて三日分の洗濯物がたまってるってこと?」
「要するにそういうことです……」
「でも洗濯物が滞ってたら着るものなくなるんじゃないの?」
「一応ジャージは三日分持ってくることになってて、今までは大丈夫だったんです」
「花宮は何も言ってこなかったの?」
「なんだかんだ理由つけてごまかしてて……」
「本当にごめんなさい!!」
つまり今日中にこれを洗濯しないと花宮に怒られるどころか、明日の練習ができないってことね?
なるほど、救世主と言う言葉は彼らにとって誇張じゃなかったのか。
「うーん……わかった、私が今夜のうちに洗濯しといてあげる」
「本当ですか!?!?」
「まゆりさん!!!」
がばっと頭をあげた皆は涙ぐんだ目でこちらを見つめてくる。
「花宮先輩には……」
「黙っててあげる。明日もはやいし、皆はもう寝ていいよ。睡眠不足で運動して倒れたらたいへんだから」
「まゆりさんから後光が見える!」
「仏のような寛大な心だ!!」
「菩薩様あああ!!」
そんなこんなで大量の洗濯物を引き受けてしまったけど。
「これ今夜中に終わるかな……」
私は腕まくりをすると、考えるよりも行動だと手近な山から衣類を手にとった。