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君の計算を狂わせたい・続【黒バス/花宮】

第3章 変革は意図して起こされるもの



*****

——ザキside


「最近まゆりちゃん人気だよねー」

 
唐突にそうきり出したのは原だ。
このメンツの時、バスケ以外の話題を出すのはもっぱら原か俺だったが、まゆりさんの話題に限ってはほとんどこいつが話しはじめる。
 
内心俺はため息をついていた。
またこの男は火に油を注ぐようなことを……。
 
練習中にも機嫌の悪かった花宮からぶわっとどす黒いオーラがあふれ出る。
古橋が盛大に舌打ちをすれば瀬戸もため息をつく。

まゆりさんの話題をだすとこいつらの機嫌がすこぶる悪くなるのだ。
それがわかっててまゆりさんの話をだす原はそうとう肝がすわっているというか性格が悪いというか。


「クソビッチのせいで部員が浮足立ってる」

 
古橋は再び舌打ちをしながら呪詛をとなえるように低く声をだした。
こいつが舌打ちを始めるとしばらく続くので、もはやリズムをきざんでいるようにすら聞こえるのだが本人は気づいているのだろうか。


「今は特に問題があるほどじゃないが、そのうち練習にまで支障が出たらめんどうだな」

 
瀬戸までこんな風に口出しをするのは珍しい。
それだけまゆりさんのことになると部員と言うより、花宮の機嫌が変わってしまうからか、とはたから見ている俺は思う。
 

ちらりと花宮の顔色をうかがうとものすごい不機嫌そうに眉をひそめていた。

うげえ、ほら花宮めちゃくちゃ機嫌わりいじゃん。
花宮が不機嫌になるとめんどくせーんだよ。

俺が恨みがましく原をにらみつければ、全く反省してなさそうな顔で舌をだされた。
お前がそんな表情しても全然かわいくねえからな!


にしても花宮がまゆりさんを連れてこようって提案したのに、なーんでこんなに毛嫌いするかね。
まあ古橋は花宮に近づくだいたいの女に対してあんな感じだからわかるけど、花宮までまゆりさんの話題をもち出すだけで不機嫌になる理由がわからない。

俺はけっこうまゆりさんのこと好きなんだけどなー。
元気で明るいし、料理はうまいし、何かと会うたびに頑張れとか応援してくれるし。

そういうところが部員の皆にもウケているのだと思う。
 
まあこいつらぶっちゃけ性格悪いし、相いれないところがあるのかもな。
なんて俺は軽く考えていた。

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