第2章 合宿生活はじまります!
いいか悪いかで言ったら悪いにきまってる。
合宿にきてそうそう出会ったばかりの男と仲良くなるなんて気にくわない。
しかしそれを口に出せばこの紫髪の男を喜ばすだけなので口に出しはしないが。
「花宮、やっぱまゆりちゃんのこと気にしてるっしょ」
「気にしてねぇ」
カレーをかっこむと俺は席を立った。
*****
皆が食べ終わって下げた食器をひたすら食洗器の中につっこむ。
五十人近くも部員がいるので、こうして頻繁に片づけないとあっという間に汚れた食器が回収棚にあふれてしまう。
これは食べる暇ないな~。
皆が食事終わってから食べることになりそう。
お腹すいたなあ。
でも時折「ごちそうさま、おいしかったよ」なんて声をかけてくれる部員がいるのでまだ頑張れる。
「まゆりちゃーん、ごちそうさまー!」
元気に声をかけてくれる原くん。
ほら、こういうの。
一言だけど意外とごちそうさまって言われるだけでも嬉しいんだよね。
「まゆりちゃん料理できるんだね~、お鍋こがしちゃうキャラに見えるけど普通にうまかったわ」
「お鍋こがしちゃうような腕前だったらそもそもこの仕事引き受けてないから!」
「まあそれもそうだね……」
軽い相槌をうつと原くんは何事か私のことをじっと見てきた。
観察されているようで気持ち悪い。
視線から逃れるように身じろぎをすると、一人納得するように原くんはうなずいた。
「やっぱわかんねぇわ」
「…………はい?」
なにが?
原くんはうんうん頷きながらわからんと繰り返すとじゃあ、と去っていった。
私としては原くんの言動の方がわけがわからない。
嵐のようにやってきた部員たちもしばらくすればいなくなり、ようやく食堂で一人食事にありつけた。
自分用によそっておいたカレーライスはとっくに冷めてしまっていたがなかなかの味だった。
お腹もふくれちょうどよく体が疲れていたこともあり食休みにぼーっとしていると眠気がやってきた。
思わず大きなあくびをもらす。
今日は疲れた。
一日で色んなことがあったし、食器を食洗器にかけてお風呂に入ったらさっさと寝よう。
とにかく疲れた…………。
自分でも気づかないほど疲れがたまっていたのか、私は机に突っ伏してね落ちてしまった。