第2章 合宿生活はじまります!
「さーて、この部屋のシーツもほとんど敷き終わりましたし、じゃあ私はまくらでもならべようかなあ!! って、わあ!!」
「越智さん? あぶなっ……」
シーツに足をとられてバランスを崩して派手に転んでしまった。
私を助けようと手をのばしてくれた御手洗先生の手をつかんだせいで、先生まで転んでしまったらしい。
「いったあ…………」
「布団が敷いてあってよかったですね……越智さん?」
至近距離に先生の顔があった。
私の体は先生の腕に囲まれている。
まるで先生が私を押し倒したような体勢。
この体勢はよくない。
先生、丸眼鏡がずれ落ちてますよ。
じゃなくて、万が一こんなところ誰かに見られたら……。
嫌な予感がして、部屋の入口を見ると唖然とした顔の花宮と古橋くんがいた。
うわあああああああああ!!
古橋くんが嫌なものでも見たように口元に手をあてた。
「…………ビッチ」
ちょっと、今聞こえたよ!
ぼそっと古橋くんがビッチってつぶやいたのが聞こえた!
「花宮、行こう。ビッチ菌がうつる」
そう言って古橋くんが花宮を連れて行こうとする。
待ってえ!!
せめて弁明を!!
「待って、花宮と古橋くん! これにはわけが!!」
「変なところを見られてしまいましたね。でも誤解ですよ。バランスを崩して転んだだけですので」
おそるおそる花宮の顔をみると、唖然とした顔をにこりとした笑顔にかえた。
先生の前だからか優等生モードの顔だった。
「ああ、もちろんわかってますよ。越智さんはおっちょこちょいなとこがありますからね。じゃあ僕らは荷物を取りにきただけなのでこれで」
それだけ言って花宮はさっさと帰っていった。
去り際に古橋くんは小さく舌打ちをしていった。
「すみません、なんだか勘違いされちゃいましたかね?」
「いえ! 私が転んだのが悪いので! 先生は助けてくれただけですし」
心がざわざわする。
花宮はああ言ってたけど、変な風に思われたかも。
「越智さん?」
「あっ、えっと、作業の続きしましょうか!」
それから先生と雑談しながら布団を敷いていたけど話の半分くらいは上の空だった。