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君の計算を狂わせたい・続【黒バス/花宮】

第2章 合宿生活はじまります!




「ふう~、よっこらせ~」

 
間の抜けたような声についでドスンと重いものが置かれたような音がした。

顔をあげると、長身でひょろっとした男性が一人。
黒髪に丸眼鏡をかけたその顔は大人びていて高校生ではなさそう。
 
えーっと誰だっけ。
どこかで見覚えが……あ、今朝花宮と話してた先生だ。
 
丸眼鏡の先生もこちらに気づいたようでばちりと目があう。


「あ、花宮くんのお姉さんの……えーっと……」
「越智です! すみません、挨拶もせず!」
「いえいえ、こちらこそ挨拶が遅れてすみません。霧崎第一高校の国語教師をやってます、御手洗といいます」
「あ、よろしくお願いします……!」

 
お互いにあたふたと自己紹介をする。
御手洗先生は眉毛をさげて細目をさらに細めて笑った。

すごい優しそうな先生。
童顔だから新卒くらいの年齢にも見えるけど、物腰柔らかで落ち着いた話し方から実際の年齢は感じた見た目より上だろう。
 
御手洗先生はどうやら飲み物を運んできたらしく、段ボールの中から二リットルペットボトルをとり出しはじめた。


「いや~、越智さんに来てもらって本当に助かりました。バスケ部のみんなが食事作りまで手が回らないってわかった時、最初は僕がご飯を作るって話だったんですよ」
「もしかして私、先生の仕事奪っちゃいましたか?」
「いやいや、とんでもない! 恥ずかしい話なんですけど、普段自炊を全くしないので料理ができなくて……だから越智さんが来てくれて一番助かってるのはたぶん僕なんです」

 
ペットボトルを数本抱えて業務用冷蔵庫の扉をあける御手洗先生はそう言ってアハハと笑う。
私もそれを見てじゃがいもを剥く手を進めた。

そうだ、時間ないんだった。

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