第8章 夫婦
時計は早23時を回っている――――
「今日はいいよね?」
「なにが?」
「言わなくてもわかってるだろ?君の肌は変わらずスベスベで…」
「はぁ…勝手にしてください」
「いいんだね?!」
「でも、入れたりしたら明日からあなたと一言も喋りませんから」
「あぁ、分かってるよ。絶対に入れたりなんてしない」
そう言い荒げた息で黒崎はペニスを取り出ししごき始める
「はぁはぁ…君はどうしてそんなに妖艶で…あぁ…」
興奮する黒崎をよそに紗耶は背を向けて寝る
「その白く美しい肌に、僕の精子で…っ飾り付ければ…ぁさらに美しくなるよ…っ!」
背を向けようがどれだけ冷たくあしらっても、黒崎は勝手に興奮し、勝手に舞い上がる
そんな黒崎に自分のしていることが虚しく感じる紗耶
(どうしたら嫌いになるのよ…)
そんなことを考え出すときりもなかった
「あぁ…イクよ…出すからね?…あっ…出るっ!」
ビュルビュルと大量の精子が紗耶の左腕にかかる
「あぁ…美しいよ。こうして受け止めてくれて嬉しい…」
果たして自分の夫は1人でこんなことをしていて虚しく感じないのかと不思議に思う紗耶
「ねぇ」
「っ!起きていたのかい!じゃあ…!」
「しませんよ」
「あ…手に出してしまったことがいけないのかな?それは本当に悪いことをしたよ。でも…」
「それは後でちゃんと拭いてくれればいい。あなた、私がこんなに冷たくしてるのにどーしてそう私にこだわるの」
「もちろんそんな君も美しいからだよ」
「どうしたら諦めてくれるの」
「諦める?あはは!そんな冗談…」
「本気なのよ!私は…!あなたに好きでもないのに勝手に結婚して!お金を持っていることだけが幸せなわけないでしょ!」
紗耶は珍しく声をあげる