第8章 夫婦
黒崎は自ら喉の方へナイフを向ける
「安心して…この事はちゃんともみ消すように下の者に言えば、大丈夫だから…」
「そう…あとは勝手にして…」
「今までありがとう。君はよく耐えてくれたよ…これからは…」
「ママー…!」
廊下の方で大翔の泣き声がする
「っ!ひ、大翔!こっちに来ちゃ…」
「マーマー!」
大翔は泣きじゃくりながらやってきた
「大翔…!」
とっさに紗耶は大翔を抱きかかえ、使用人を呼ぶ
「もういいからそれ閉まって…!」
ナイフをしまうように言う紗耶
「…ごめん」
紗耶は使用人に大翔を寝かしつけるように言い預け黒崎とリビングで話し合うことにした
「君はここで暮らして僕は遠くの方で…」
「…」
「だ、ダメかい?それなら…」
「ごめんなさい。私どうかしてたわ…」
「え?」
「確かにあなたのことは許せない。でも、大翔がいるのよ。大翔は母親も父親もいなきゃダメよね…」
「本当にいいのかい?君は…」
「あなたに出会って嫌な思いも苦しい思いもしたけど、今の私は1人じゃ何も出来ないのよ。あなたが居ないとダメなのかもしれないわね…」
「っ!…これからは君と大翔の為に立派な父親になるから」
「ありがとう…お願いするわ」
こうして2人はやっと夫婦としての一歩を歩み始めた