第8章 夫婦
家族連れやカップルで賑わうファミレスに来た2人
「へぇー、洋食だけじゃなくて和食もあるんだね」
「えぇ…」
初めてのものに目を輝かせる黒崎
「君は何にするの?」
「んー…これかな」
紗耶はメニュー表を指さす
「チーズハンバーグセット…じゃあ僕も同じものを頼むよ」
「え、他のでなくていいの?」
「あぁ、君が食べてるものが気になるからね」
「そう…」
そういいメニューをオーダーした
「ここのレストランは出てくるまで本当に早いんだね。回転効率がいいのも分かる」
「本当にいいの?こんなので…」
「もちろん。君が食べたがっていたもの何だから」
「そう…」
2人はナイフとフォークを手に取り、ハンバーグを口へ運ぶ
「んー!この安っぽい肉の味をチーズがカバーしてそして、口の中でいいとろけ具合を保っているよ」
「そう…」
「思っていたより全然いい!美味しいよ」
「良かったわね…」
目を輝かせたまま黒崎は食べ続ける
「たまにはこーして庶民のくるところでのディナーもいいものだね」
「私はこのぐらいでいいのよ」
「え?」
「こうした外食私にとってはごちそうだったもの。高級なレストランももちろん良いけれど、私はこうして出てくる賑やかなところで食べるハンバーグが好きね」
「いつものレストランは気に入らないかい?」
「いいえ。あのレストランももちろん好きよ、でも何だか味気ないのよ。こうした雰囲気がないから…だからここに来ると安心するのかもしれないわね」
暖かさあふれる笑顔に誰もが魅了されるわけはきっと黒崎の母に似ているのかもしれない
そして黒崎も父と同じ道を辿って行っている
「コーラなんて久々に飲んだ…美味しい」
「っ…君が飲みたいのならいつでも言ってくれ。いくらでも出すよ」
「たまにだから良いのよ。いつも飲んでちゃ太っちゃうじゃない」
「君は細すぎるよ…それも美しいけど心配だ」
「そう…じゃあたまにはこうしたジャンキーなもの食べさせてもらえる?」
「あぁ、もちろん君が言うならば」
こうして初めてのファミレス体験をした黒崎だった