第8章 夫婦
「大翔ー。こっちを向いてよ!パパの方!」
「大翔ー。ママの方が好きだもんね?」
「えぇー!パパもママ好きなんだけどなー」
大翔を抱える紗耶をカメラに写す黒崎
「もー二人してこっち来ちゃって」
「いいだろ?可愛いママに惹かれたんだよ」
「またそんなこと言って、んふふ」
たわいもない日常をビデオカメラに残していく黒崎
これが本当の幸せなのだと黒崎は噛み締めた
「大翔がこんなにもはやく成長するなんて驚きだよ」
「そうね、子供の成長って早いわね」
「たまになら…たまになら外に出てもいいよ」
「え?」
「もちろん何かあった時のために見える範囲でボディーガードは少しつけるけどね?」
「いいの?」
「君だって大翔と外に出たいだろ?」
「ありがとう!」
「でも外へ出る時は僕でも使用人でも構わないから事前に知らせてくれ」
「ええ、分かったわ」
「まずその第一歩として、僕と君が行きたがっていたファミレスとやらに行こう」
「え…」
唐突の提案に戸惑う紗耶
「大翔はどーするの?」
「大翔は使用人に見てもらって、君と僕と2人きりでだよ。あ、でもボディーガードは念の為、数人配置させてもらうからね?」
「はぁー…」