第7章 彼女の世界
「大翔ー」
ハイハイする我が子を呼ぶ紗耶
大翔も順調に成長しハイハイやつかまり立ちをするようにまでなった
「あ、ぅ!」
「よく出来ましたー!」
自分の元へ来た大翔を優しく包み込み抱きかかえる
「そろそろ眠くなる時間かな?」
紗耶は大翔を抱きかかえたまま、左右に優しく揺らしながら寝かしつける
「ぅ……」
しばらくすると大翔は気持ちよさそうに紗耶の腕の中で眠りにつく
紗耶はそのままソファーへ座り眠りにつく我が子を見つめた
「ずっとこの時間のままでいたい…」
そうつぶやく紗耶
夕方になれば夫である黒崎が帰ってくる
そうすれば大翔とはしばらく離れてしまう時間ができ、黒崎の相手をしなければならない
「大翔とずっと一緒にいたいのに…どうして。あの人の相手をするなんてもう沢山なのに…嫌だったのに…」
気づけば涙が流れ大翔の頬には二粒ほど落ちている
「ひっひっ……んぎゃー!」
先程まで心地よく寝ていた大翔が紗耶によって起きてしまった
「っ…!ごめんね。眠かったよね」
そう言って紗耶はまた立ち上がり大翔をあやす
しばらくすれば先程のようにまた心地よく眠りにつく大翔
そして大きなベビーベッドへ寝かせると紗耶は大翔の隣へ座りいつの間にか眠りについてしまっていた