第3章 監禁生活の始まり
カチャカチャ――――
「おはよう。愛しの奥さん」
「…おはようございます」
相変わらず紗耶はベッドに足枷をつけられ自由に身動きが取れない状態である
手首にも手錠がつけられており、簡単にものに触れることが出来ない
「裸のままでは寒いと思ってね、毛布を持ってきたんだ。セックスしたあとに君が冷えて風邪でもひいたら心配だからね」
「すいません…」
紗耶は監禁されている身にもかかわらず、人の良さが出てしまっている
「んふ、君は本当にいい子だね。この部屋から出すこと以外ならなんでも願いを叶えてあげるよ?」
「…どうして、私じゃないとダメなんですか?」
「なるほど。君を初めて見た時に僕の中で初めて人に対する執着心が芽生えたんだ…」
「初めて…?」
「そう。君を見た時から…ね?」
そして黒崎は自分の過去について話し始めた
「僕の家族は代々長男がこの財閥グループを継ぐようになっていてね。僕の父もその立場だった。けど父は許嫁でなく一目惚れした女と交際し、結婚したそれが僕の母でその母との間に生まれたのが僕」
「…詠人さん」
「そう。だけどそれを許さなかったのが祖父だった。祖父は父に黒崎家から出て行くように命じ、僕達家族は黒崎の名を名乗れなくなった。けど、祖父と祖母の間に男が生まれたのは父だけだった、だから祖父は養子をとりその養子を跡取りにさせようとさせたらしい」
「…」
「でもその養子をとろうと話が出た矢先、母は男を作り出ていった。母に執着していた父は壊れやせ細り終いには死んでしまったんだ。それを知り祖父は一人になった僕を跡取りにして、僕には厳しい教育をした。でも母が出ていった理由を作ったのは祖父で裏で男を雇い、父が戻ってくるよう動かしていたらしい」
「そんな…」
「本当だよ。養子の話なんて元からなかった。祖父は父に養子をとるように見せかけ家族を破滅に追いやったんだ。僕にいたっては成績が下がれば可愛がっていたハムスターは当時祖父の飼っていた猫に喰われたりしたよ」