第9章 賭け。
「信長様」
「!!!」
襖の向こうから聞きなれた声が聞こえる。
「入れ。」
慣れたてつきで襖を開けたのは家康だ。
「急に呼び立ててすまない。」
「いえ。」
家康がチラッと私をみる。
「あっ、では私はこれで失礼しますね。」
急いで、碁石を入れ物にいれて立ち上がる。
「別にこのままいて夜伽の相手をしてもいいのだが?」
信長様がにやりと笑っていう。
「結構です!!!おやすみなさい。
家康もおやすみ。」
そういって天守をあとにした。
危ない。
たぶん信長様は半分気づいてる。
私がはじめてじゃないってこと。
このままここにいて、
大丈夫なんだろうか。
政宗とはるさんをみてても
どんどん、自分が嫌いになるし、
家康はあんなとこいってくれたけどーーーー。
ただただ焦りが募るばかりだった。
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「……どういうことですか、信長様。」
家康が信長様を少しにらみながらいう。
「どうもこうも。あやつはからかいがいがあるな。」
たまらないというように
ふっと笑う。
「家康、あやつはあやういぞ。」
「は?言ってる意味がわかりません。」
「ふっ、まぁよい。それで………」
あとは今後の同盟についての連絡事項の話に戻った天守。
家康がそこをでるまで
この話に、触れることはなかった。