第7章 ほころび。
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あれはつい先日。
秀吉さんに使いを頼まれ
政宗の御殿に書簡を渡しににいったときだ。
行き道を心配されたけど、
昼だし、
何度も何度も行き来した道だから
わかる。
秀吉さんに一緒についていく付き人を
用意するといわれたものの、
丁寧にお断りして一人できた。
だって、もしまた、フラッシュバックして
泣きそうにでもなったら
それこそ言い訳を考えるのに苦労するし
一人の方が気楽だった。
行きなれた道を歩いていくと
そこに政宗の御殿があった。
私がタイムスリップして現代に飛ばされた時、
この御殿に雷が落ちて
火事になっていた。
あのとき手をとることができていれば、ーーーー。
いや、考えるのはよそう。
そこには火事のとなどまったくない
きれいな御殿がそこにあった。
『すみませんー、政宗に書簡をー』
入り口に誰もいなかったので叫ぶと
黒い塊がおもいっきり私にぶつかってきた。
そのまま後ろに尻もちをついてしまう。
『っ痛たぁ。。。』
涙目になっていると
ぺろっと頬を舐められた。
『!!!子虎?!』
みるとそこには小さい虎が、
そう、政宗が飼っていた子虎がいた。
私が最後にみかけた時より2年半ほどたっているからか
だいぶおおきくなっている。
『そっかー、子虎は私のこと覚えててくれてる??』
無意味な質問をしながら子虎を撫でていると
『へぇ、子虎が珍しく人になついてるな。』
政宗が奥から出てきた。
『あっ、政宗。そうなの?相変わらず人にはなつかないんだ。』
『相変わらず??』
あっ、また子虎が懐かしくって
思わずいってしまった、
『あっさっき女中さんに聞いて…』
『そうか。しかしそのなつきようを見たらはるが
羨ましがるな。』
『そうなの??』
『あぁ、嫌われてるやけじゃなさそうだが
どうもあいつはなめられてるな。』
『ちょっとー!誰がなめられてるってー!!』
奥からパタパタと走ってくるはる。
私を見るなり大きい目をさらにおおきくしていう。
『ああっ!!ひなさんすごい!ずるい!!』
『ほらな。』
政宗がはるの頭に手をおきながらいう。