第5章 溢れだす思い。
「はるが、お前の好きな人の話しちまって
思い出させたかもしれないって。
耳飾り落とした時のお前の顔も…………
いや、それはいいとして、
気になるから見てきてくれって。
案の定泣いてるしな。」
あぁそういうことか。
でも、よかった。。。
変に、誤解されなくてすみそう。。
ゆっくりと胸から顔を離す。
政宗の香りが遠ざかり、
それだけでまた、泣きそうになる。
「…ひっく。。ごめんね。泣きついたりして」
「気にするな。」
そういいながら優しく私を撫でる。
撫でられるだけでこんなに落ち着く。
「泣きたいときにはいつでも泣け。
だが必ず最後は笑え。
お前の笑った顔は好きだ。」
政宗が屈託なく笑う。
あぁ、やっぱり、この人には敵わないなぁ。。、
「ありがとう。もう大丈夫。」
素直に言葉にできた。
「よし、じゃあ手拭い濡らしてもってきてやる。
そんな目腫らしてたら
あいつらにからかわれるぞ。」
「うん。」
パタン。
政宗が襖をあけて出ていった。
ーーーーー
最悪だ。
政宗のことで泣いて、
傷ついて
結局政宗に泣きついて
安心して。
自分がどうしたいのか
わからない。
ねぇ。。。
教えて。。。政宗。。。
首飾りに触れまたあなたを思う。
ひとつ言えることは
政宗に触れられた背中が
まだ熱を帯びていた。