第5章 溢れだす思い。
「!!」
「開けるぞ。」
「や、あけな……」
ガラっ
言い終わる前に襖が開く。
「なっ、お前どうし……」
見上げたらそこにはやっぱり大好きな政宗がいて。
私をみてびっくりしてしゃがんだ政宗の胸に
泣きついていた。
「ちょっ!おまっ」
事態を飲み込みきれず慌てる政宗。
けど、しばらくすると、私の背中にあったかい温度が
伝わる。
背中をさすってくれている。
「うぅ。。うー。。。」
声にならない泣き声で
子供みたいに政宗の胸にしがみついていた。
「政宗ー??ひなさん大丈夫ー??」
遠くではるの声がする。
「あぁ、大丈夫そうだ、はる先にいっとけ、
お前、確か信長様に早くこいっていわれてただろ。」
「あぁ!!そうだ!!!危ない!!先いってるね!
ちゃんとひなさん連れてきてねーー」
パタパタと足音が遠ざかる。
ヒック。。。ヒック。。。
だめだ、離れなきゃ。
どうやって言い訳しよう。
そうやってぐるぐると考えながら。
でも大好きな香りを離したくなくて
顔をあげることができない。
ヒック。。。ヒック。。。
いつも、この香りに
この温度に包まれてた。
顔をあげなければ、
このまま時が止まれば
政宗はあの政宗のままだった。。。
全てを包み込んで守ってくれる。
…………。
そんなことを考えてると
少しずつ呼吸も落ち着いてきた。
政宗は
何も聞かずにずっと背中をさすってくれる。
「ごっ、ごめんなさい。。。ひっく。
あの。。。。」
「いい。泣きたいときは泣けばいい。
お前は我慢しすぎる。」
「!!!」
政宗の優しい言葉に
また涙が出てくる。
今だけ、今だけ。
ごめんなさい。
もう、望まないから。。。
「好きなやつでも思い出したか。」
「え??」
政宗の胸の中で見上げる。
抱かれた状態で背中を、撫でてもらってるから政宗の顔は見えない。