第5章 溢れだす思い。
「……っ。」
だめだ、今広間にいっても、誰にあっても
笑える自信がない。
そのまま走って自分の部屋に入り、
ふすまを閉める。
「う~~~~。」
声にならない叫びをしながら
胸の痛みを紛らわす為に
痛いくらい自分の胸を叩く。
ドンドン。
大丈夫。
まだ、大丈夫。
あんたは強い子だ。
誰に言ってるかわからない思いを
反芻する。
「なんで…なんで………」
ドンドン。
胸をいくら叩いたって
中から込み上げる痛みにはかなわない。
「……違う。………違うから。」
「……お願い、止まって。」
自分の意思とは関係なく
涙がこぼれだす。
溢れてくる。
「痛い。。。痛いよぉ。。。」
胸に痣ができるくらい
私は叩き続けた。
目の前にいるのは私の知ってる政宗じゃないって。
必死に言い聞かせて。
「助けて……助けて…誰か………」
首飾りを握りしめて
誰に向かっていうでもなくつぶやいた。
「おい、大丈夫か??」
今一番聞きたくて
一番ききたくない声が聞こえた。