第4章 消せない記憶。~宴~
「…………失礼します」
襖の前に正座し、
姿勢をただして襖にむかって言う。
「入れ。」
襖をあけると信長様が一人
寝着をつけめ
布団を背に座っている。
「!!やっ!あの!」
その状況になんとなく危機感を感じ
襖を閉められずにいる。
信長さまは右足を立て膝し、
その膝の上に右肘をのせ、顔を隠すように
笑いながらいう。
「くっくっ。何を想像している。
貴様の頭は常にそんな頭しかないのか。」
「しっ!してませんよ!!!」
顔が赤くなるのがわかるくらい熱い。
急いで後ろの襖を閉めた。
「そもそもなんですか、天守にこいって。
言うことを聞くのはひとつだけですよ!!」
顔の赤さを隠すように顔を下に向けたままいう。
「なんだ?顔が赤いぞ??
とりあえず、こちらへこい。」
手招きをされ、
おずおずと信長様の近くに寄る。
あえて、手を伸ばしたらギリギリ届かなさそうな所に座る。
「くっくっ。警戒心が強いな。
ひな、どうだ、最近は。ここの暮らしにも慣れたか」
この前も同じことを聞かれたなと思い出す。
気にしてもらってるのかな。
「はい、今日の宴もありがとうございます。
まさかこんな展開になるとは思いませんでしたが。」
また目線を下げて落ち込む。
「はっはっはっ、やはり貴様は面白いな。」
「へ??」
顔をあげると信長様との距離が縮まっていて
腕かこっちに、延びてくる。
「なっ!」
思わず目をつぶると
何かくると思ったものがなにもこず
笑い声だけが聞こえた。
目を恐る恐るあけると
そこには囲碁の台があった。
「くっくっくっ、だから貴様は何を期待したんだ??
期待していたことをやってやってもいいが
それは貴様が俺を楽しませられたらな。」
「なっ!なにも期待してませんし!!
しなくて、結構です!!」
「まぁよい。色々貴様にさせてもいいのだが、
せっかくならそこも、楽しもうと思ってな。」
「………囲碁ですか???囲碁なら別に
いつでもやりますけど。」
「不満か??」
「いや!全然!むしろありがたいです!」
なんか拍子抜けだなぁと。
もっと面倒くさいこととか頼まれると思ってたのに。
「囲碁のお相手することが命令っていうのが
なんか拍子ぬけしちゃって。」
「…誰がそれだけといった。」
「へ?」