第16章 重ねて
「もし俺があいつより早く生まれてたら
違ってたかもしれねぇなぁ。。。」
そうつぶやく小次郎をみて
なんとなく自分と重なる部分を見たように思えた。。。
「なにそれ。
じゃあ、また逃げたら同じように
早く生まれてたらって思って政宗に嫌がらせするわけ?」
「は??」
また睨まれる。
でもなんだかわからないけど、
言葉が止まらなかった。
「早く生まれてたら」
ーーーー私がはるより先に政宗に会ってたら
「きっと俺が政宗みたいになってたとか」
ーーーーきっと私がはるさんみたいになってたとか
「だから一生自分は幸せになれないとか思って
ずっと生きてたって
なにも現状は変わんないんだよ。
いまのあなたを生きないと。
ずっと、変わんないよ。」
小次郎に向かっていってるのに、
なんだか自分に向かっていってるようだった。
私が嫌悪感を抱いた理由、
きっと自分と似ていたからかもしれない。
でも私がこんなこといわなくたって
きっと、この人もわかってる。
だって、政宗の弟だもん。
わからないはずがない。
もがいて、苦しんで、あがいてるんだ。
私と同じようにーーーーーー。
「…………へぇ。」
私をみて笑って言う。
「あっ、いや、ほんと、何いってるんだろ。
その。。。」
「やっぱりお前はいい女だ。」
「は??なにいって。。。。「すまん、あと少し我慢してくれ」」
「え?」
私が言いかけると小次郎が私をまた
後ろから拘束する、と同時に
縁側側の襖があいた。