第16章 重ねて
「そのまま逃げたらいいのに、
わざわざ私のところにきたってことは
そういうことでしょ。違う??」
さっき信長様の前でおもいっきり泣いて
すっきりした後だからだろうか。
一回目のタイムスリップの時、
敵だとわかっていても思わず助けてしまった時の
記憶がふとよみがえる。
人が人を殺しあうのをみすみす見過ごしたくない。
政宗が傷だらけになって帰ってくるのを
なんとかしたいというのはもちろん、
自分の目の前で助かる命が助からないのが嫌で、
家康に医学を教わっていた事を思い出した。
「ーーーっくそっ!そうだよ。
お前が政宗の傷をきれいに止血してたっての
熊があまりに言うから。
だいたい佐吉も俺をかばおうと飛び出すから。。。」
「わかったから、早く佐吉を下ろして。」
すばやくかけよって
傷口をみる。
やはり中々傷が深い。
目の前の布団のカバーを破り
止血する。
私の部屋にあるものじゃ、そこまでしっかりと
消毒もできないけれど
できる限りの事はやってみる。
「へぇ。。さすがだな。」
「見てないで、こっち押さえて。ほら、あなたも。」
大柄の男、熊にも手伝わせ三人がかりで
処置していく。
遠くの方でおそらく三人を探す声だろうか、
微かに聞こえる。
まさか城の真ん中でこんな治療されてるとは
思わないだろう。