第16章 重ねて
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「ふぅっ!」
さんざん信長様の腕の中で泣いたからか
信長様に自分を肯定してもらったか
なんとなく心が楽になり、
自分の部屋に戻って一息つく。
大丈夫。
まだ頑張れる。
そう思っていた伸びをした矢先。
急に首筋に冷たい物が当たった。
と同時に後ろから拘束される。
「動くな。」
「!!!!!」
全身の筋肉が硬直する。
「動くな、騒ぐな。」
静かに、頷く。
そしてこの声、忘れもしない。
小次郎だ。
なんでーーー。
と、そのまま方向転換させられる。
振り返るとそこに大柄の男に抱えられて
ぐったりしている佐吉がいた。
よくみると大柄の男の腕から
血が垂れている。
「!!血が。、「静に。騒ぐなよ。」
私の言葉にかぶすように小次郎が言う。
コクコクとうなずき
騒がない意思を示す。
「でも。。。なんで。。ここに。。。。」
「みすみす殺されてたまるか。
逃げてきたんだ。」
「逃げてきたって。。。」
といいながら刀を喉につきつけられているはずなのに
目の前の佐吉が気になって仕方がない。
「その。。佐吉っていう人の。。。」
「無駄口叩くな。
やり過ごしたらここから出ていく」
私を拘束しながら小次郎が言う。
「。、。だか。。ら。。。先にいって。。ください。。」
か細い声で佐吉が言う。
「うるせぇ。お前も黙ってろ。
俺より先に死ぬなんて許さん。」
。。。、。
なんだろう、この絆。
この三人は
どんな関係なんどろうと思う。
でもそんなことより、
佐吉から流れ出ているであろう血の量で
かなりの深手であることがわかった。
このまま放っておくと危ない。
素人目からみてもわかる。
「どうにかできるか。」
大柄の男が心配そうに言う。
「熊、お前も静かにしろ。」
「しかし。。。」
そういってる間にも赤い血が滴り落ちる。
このままじゃ。。。
そう思った瞬間身体が先に動いた。
「ーーっ、離して!!!」
「なっ!!」
刀をつきつけられてるのを思わず忘れ、
小次郎を振りほどく。
「てめっーー「助けたいんでしょ。」」
小次郎を制して言う。