第16章 重ねて
はるは政宗に連れられ、城に帰った。
二人が帰るのを見届けた後、
私はとりあえず身体を洗い流したくて
すぐに湯浴みにむかう。
小次郎につけられた跡はこすってもこすっても
なんだかずっとついてるようで。
ーーーー。
こんなのあの頃の政宗が見たら
烈火のごとく怒るか。。。
いや。その夜、確実に寝させてもらえなさそう。。。
ふと想像して
思わずくすっと笑みが漏れてしまう自分に
少し驚く。
あんなとこがあったのにーーー。
「ーーーっつ。」
ひりっとして思わず手をとめた。
こすりすぎて少し血が出たようだ。
そんな妄想をしたところで
戻ってこない過去。
私の跡を見た時の政宗の表情を思いだし、
また気持ちが暗くなる。
一通り身体を洗い、
長襦袢をきて浴室から出る、と
廊下の壁にもたれ掛かるように
信長様がたっていた。
「ーーーーっ!信長様!」
「すみません、お入りになるつもりでしたか?
だいぶ長風呂をしてしまって。。。
申し訳ありません。」
あわてて通りすぎようとすると
ぐっと腕を捕まれ、
すぽっと腕の中に入る。
「ひな。」
「。。はっ。。はい。」
とっさの事でなになんだかわからないまま
信長様の厚い胸板を見る形で
返事する。
「よく頑張った。」
バリトンの響く声が
私の耳にすっと入ってくる。
「ーーーっ!!」
すっと、信長様を見上げると
まっすぐ見つめる瞳に吸い込まれそうになった。
「貴様は間違っていない。」
「ーーーっなっ!!!」
それを聞いた瞬間、
気づくと頬に涙が伝っていた。
「きゅっ急になに言うんですか。
そっそんなこと。、。」
言い切る前に
ぎゅっと抱きしめられる。
「大丈夫だ。貴様は間違っていない。」
私の不安をかきけすかのようにもう一度いう。