第15章 直感。
政宗に抱き抱えられたまま
まるでそこだけ時間がゆっくり過ぎていってるような
そんな感覚におちいる。
ぎゅっと私を包むその感触、
匂いはあの頃の政宗のままだった。
このまま時間が止まればいいのにーーー。
そんな風に思ってしまう。
でも、現実は甘くなくて、
少しの衝撃のあと
冷たい感覚が全身を覆った。
息が。、。
と思うとぐいっと抱き上げられる。
「ーーっ、はぁはぁはぁ。」
「大丈夫か、ひな」
「。。。これを大丈夫と捉えるなら大丈夫かもね。」
「なんだ、その言い方。」
ぷっと笑いながら政宗がいう。
「なんだろうね。ふふふ、ははは」
なんだか笑えてくる。
と、ふと、政宗の顔が曇る。
「ーーっ!」
「!!政宗!おなか!!」
先程赤い染みが広がっていたのを思い出す。
「大丈夫だ。こんな傷。」
「こんな傷じゃないよ!すぐ、あがって!!」
抱き抱えられていた体勢をほどき、
岸にあがる。
見ると、政宗の脇腹部分の染みがどんどん大きくなってくる。
「止血しないと!!こっちへ!!」
岸の岩影に政宗を寝かす。
「大丈夫だ、騒ぐな。」
「大丈夫じゃない!政宗が黙って!」
制止しようとする政宗を押さえ
自分の着物の裾を破り
包帯がわりにして巻く。
「へぇ。。慣れてるんだな」
政宗が感心したように言う。
「そりゃあね、誰かさんがよく怪我するもんだから」
政宗は戦場にいくことをやめなかった。
だってそれが政宗だから。
それでも心配だから。
せめて、自分自身でなにか政宗にできることを、。。
と考えて、
政宗がどんな怪我をして帰ってきても
ちゃんと対処でにるように
家康はじめ、お城の医者に
ありとあらゆる対処法を学んできた。
「はい!できた。今日はもう無茶禁止。」
「無茶じゃねぇよ。これくらいの崖。
何回か飛び降りたことがある」
ーーー、知ってるよ。
いえないけどね。